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誰格2pt.6/野獣サップ遁走劇を読み解く(3)(4ページ目)

「誰が格闘技を殺すのか」シリーズ第二弾。GWの格闘技界を揺らした桜庭のHero's移籍。K-1ボブ・サップの出場拒否事件は本当にその報復なのか? 選手の引き抜き合戦の構造に迫る。

執筆者:井田 英登

(承前)
 マスコミの皆様におかれましては、以上の事態を考慮されながら、どうにか格闘技のイメージをこれ以上悪化させないようご配慮いただくとともに、後向きな話題あるいは事実を適切に反映しないような話題を、不必要に過大にお取り扱いなりませぬよう、心よりお願い申し上げます。上記のようにサップ選手の「声明文」に対して説明させていただいたのは、あくまでもこの件を面白おかしく煽り立てないでいただきたいからです。これまで、私共はサップ選手のことを思い、オランダの件に関しましてもマスコミで騒がれていてもコメントは出来るだけ差し控えてきました。現在もまだ、サップ選手が活躍していた頃のようにハングリーな気持ちを取り戻し、必ずやよい形で復活することを信じていますし、そのために今後も交渉し続けていく所存です。また、サップ選手には、心無い第三者の意見を鵜呑みにして、これ以上自らのイメージを貶める行為はくれぐれも慎むよう願って止みません。

 皆様には大変お見苦しい状況をお見せしてしまいましたが、一刻も早く解決できるよう努力していく所存ですので、温かい目で見守っていただけますようお願い申し上げます。

K-1イベントプロデューサー
株式会社FEG代表取締役
谷川 貞治



 かねてから囁かれてきた“PRIDE関係者の関与”を、具体的な事実として指摘している部分がなにより目を引く。

 文中で今回の騒動の“陰の首謀者”として名指しされた形のマイケル・コネット氏は、PRIDE(DSE)の顧問弁護士として知られる人物。一昨年(2004年)の暮れ、ホイス・グレイシーが曙の対戦相手としてK-1主催の「Dynamite!!」に参戦発表した際には、同選手との優先的交渉権の保有を主張して記者会見にも登場。不法な“引き抜き”を阻止する役割を担って、FEGとの交渉の窓口をつとめてもいる。それだけに今回180度立場が逆転した形で、“引き抜きの仕掛人”としてスポットライトが当たる事になったのは皮肉な話だ。

 彼が谷川氏のリリースに書かれているような形で、サップの動向にサジェスチョンを加えていたとするならば、いかに「個人的な相談相手」と主張しようとも、“引き抜き”の意図を持ってサップと接触していたという指弾は免れ得ないだろう。アメリカでは、しばしば法的知識を持つ弁護士がスポーツ選手のマネージャーをビジネスとする事が多い。

 さらに、この谷川社長の“反論”を受けて、6月30日DSE榊原社長が事情説明をしたところによれば、コネット氏はマーク・ハントをマネージメントするれっきとした選手代理人でもあるとのこと。このハント自体、K-1王者になった翌年、PRIDEに電撃移籍した事で話題になった選手でもある。その移籍プロセスにおいて、コネット氏が関与していたとすれば、K-1から見て、既にコネット氏は“前科一犯”ということになる。サップ自身に対してはあくまで寛容な姿勢を崩さない谷川氏であるが、“影の首謀者”であるコネット氏に対しては、「心ない第三者」と厳しい表現を宛てて徹底抗戦の意志を示しているのも、無理はない話なのかもしれない。


【PART7】に続く
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