意外なまでに早かったFEGの秋山処分

このうねりを受けて、K-1主催会社のFEGは素早い“火消し”の動きに出た。
大会終了から一週間足らずの11日、事件解明の記者会見を開いたのである。会見に出席したFEG社長谷川貞治氏は、秋山の反則行為(スキンクリーム塗布)を認め、失格処分とギャラ全額没収の処分を発表。

これまで業界の通例として、スキャンダル“隠蔽”を目論むイベンターが多かっただけに、この予想外のスピーディーな処分発表は、別の意味で衝撃があったと言える。スキンクリーム塗布がタックル逃れの意図を持たずになされたかという“犯意”の問題はさすがに問わなかったようだが、処分内容もほぼ厳正と言える物であり、スター選手秋山の商品価値を貶めるギリギリまで踏み込んだ処分であろう。

だが、その“勇気ある決断”の後押しをしたのは、主催者側の自浄能力というより、ファンの抗議の声の大きさではなかったか。この件に関して、僕もBattle Talkという雑誌からコラムを求められ、事件の顛末をレポートした上で、 “薮の中”裁定に終わるのではないかという危惧から、こんな結びを書いた。

事件の真相はさておき、これだけの声が自然発生的に異議申し立てが沸き上がって来ているという事実を、主催者側は軽々しく考えない方がいい。雪印事件の例を牽くまでもなく、ネット時代に企業が説明責任を怠ると、消費者の抱いた悪感情の渦は、瞬く間に企業活動をストップさせるほどの大嵐に成長する。K-1は一刻も早く真相究明を行い、ファンの不信感の“火消し”に乗り出すべきではないだろうか。


正直事件はこのまま有耶無耶にされてしまうか、解明にむかうとしてもダラダラと長期化するのではないかという予想から書いた記事であったのだが、その思いは、意外にも良い方に裏切られたのだった。

だが、問題はこれで終わったと考えて本当にいいのだろうか?
僕にはそうは思えない。

秋山選手の犯意について追求するのは、非常に難しい話だし、実際にそれがクロであったとしても、正直な所、一人の選手の不心得の域を出ない話である。むしろこの先問題にして行きたいのは、なぜ秋山選手のクリーム塗布が看過されたのか。――なぜ、あの日試合を裁いた審判団はその不正を事前にストップする事が出来なかったか、その構造的な問題を考えてみたいと思うのである。

秋山事件なぜストップできなかったか?(5)

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