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十年越しの対決=U という名の大河物語最終章へ 田村vs桜庭は「Uの墓標」か?(3)(3ページ目)

PRIDE29ではついに桜庭が、田村との対戦要求をぶちあげた。二年越しの、いやUインター時代からはほぼ十年越しのこのラブコールの秘める歴史と今後の展望。

執筆者:井田 英登


田村に出場不可能の暗雲?

またしてもオールドファンとしての思い出話が長くなりすぎたようだ。

速報性をもってなすインターネットらしく、すこしレアな情報を皆さんにお伝えして、この原稿の締めくくりとしよう。

今回、桜庭のマイクアピールによって、田村が4月23日大阪ドームで開幕する「PRIDE-ミドル級GP 2005」出場への伏線は確実に引かれた。冒頭では「オールドファンしか知らない因縁」と散々こき下ろしたが、今後、実現に向けてのアクションが進行して行けば、今回の本稿同様、過去の経緯を伝える報道も増え、次第にその歴史的意味合いがファンに浸透して行くであろうことは予想できる。

榊原信行DSE代表も「あれはサクの突発的で自発的な行動」と語りながらも、田村に対し「残念な結果だったが、真剣勝負の中でこういった突発的な事故は仕方ない。今日結果を出せなかった分、ミドル級GPには出て来てほしい」と、GP参戦/桜庭戦実現に向けてのアクションを起こす事を表明しているので、ファンはその推移に大きな期待を抱いているはずだ。

僕自身も、田村の内心を謎めいたパフォーマンスから推測したりしながら、彼のUイズムを正当化するような書き方をして来たが、正直な所を言えば、もう時代はそうした物を望んでいないし、もうUの歴史はそろそろ終わってもいいのではないかと思っている立場だ。

むしろ田村には、既に形骸化した“かつての” Uのイズムをこの一戦で葬送し、残り少ないであろうその後の選手人生では、“Uのため”ではなく、一選手として自らの可能性を燃焼し尽くしてくれることを祈っている。

だが、残念な事に、その前途に大きな暗雲が漂っている可能性が出て来た。

試合後、医者を理由にPRIDE29の会場をノーコメントで後にした田村の行動を、この原稿の冒頭にも書いたはずだが、多くのファンや関係者は、これを「コメント逃れの三味線」と受け取っていると思う。

だが、最近田村に近い関係者の口から、実はこのときの田村の負傷が結構深刻なものだという情報が入ったのである。あくまで“未確認情報”として、こちらも真偽を確認するまでは、決定的な情報としてBoutreviewでもニュースにするつもりはないが、仮に本当なら、田村の4月のトーナメント参戦は物理的に考えられない事になる。

はたして、PRIDE屈指の夢の対決は、三度目の流産を迎えてしまうのか?
それとも奇跡の実現を見るのか? いずれにせよ、田村を巡る戦いの構図は、常に混乱と期待の入り交じった不思議な暗雲が常に立ちこめている事だけは、まちがえない。

桜庭という陽のキャラが、その暗雲を吹き払う力を持っているかどうか? そうした人間力の比べ合いこそ、この両者の十年越しの戦いの真の帰結を左右するのではないだろうか。
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