・「大晦日3大興行激突!」(下)
・(3)Dynamite!!編「サップvs曙戦は世間に届くか」
・(4) PRIDE男祭り編「“正統派”男祭りに勝算は?」
・(5) イノキボンバイエ2003編「IB派の野望と業界地図の変化」
・(3)Dynamite!!編「サップvs曙戦は世間に届くか」
・(4) PRIDE男祭り編「“正統派”男祭りに勝算は?」
・(5) イノキボンバイエ2003編「IB派の野望と業界地図の変化」
昨年、大晦日にTBS系列で中継された「INOKI BOM-BA-YE」は、年越し番組として長年TV界に君臨してきた紅白歌合戦に視聴率16.5パーセントという数字で肉薄する大成功を収めた。この数字は、大晦日の民放歴代二位の快挙となり、格闘技ブームがいよいよお茶の間にまで浸透した事実を印象付ける“事件”でもあった。
だが、2000年以来4回目を数えるこの恒例ビッグイベントに、今年は大異変が起きた。なんと、これまで共同歩調を取ってきた主催者グループが、突如三つに分裂。各個に同日年越しイベントを開催。TV放映も地上波三局が、ほぼ同時にこれらを中継するという異常事態となったのである。
既にみなさんも連日の報道で、こうした状況は十分ご存知のこととは思うが、今回のクローズアップでは改めて三者分裂に至った経緯と現状を検証してみたい。
では、まず簡単に三派の勢力分布を整理してみよう。(開催発表順)
・アントニオ猪木&Kコンフィデンス派
「INOKI BOM-BA-YE 2003」(神戸ウィングスタジアム)
[目玉カード]ミルコ・クロコップvs高山善廣
[参加予定選手]エメリヤエンコ・ヒョードル、藤田和之
[TV放映]日本テレビ系列 午後8時~11時15分
・K-1
「DYNAMITE !!」(ナゴヤドーム)
[目玉カード]曙太郎vsボブ・サップ
[参加予定選手]アーネスト・ホースト、フランシスコ・フィリォ
[TV放映]TBS系列 午後9時~11時24分
・PRIDE(DSE)
「PRIDE男祭り」(さいたまスーパーアリーナ)
[目玉カード]吉田秀彦vsホイス・グレイシー
[参加予定選手]桜庭和志、ドン・フライ
[TV放映]フジテレビ系列 午後6時半~11時半
そもそも三分裂の事態が明らかになったのは、10月末のこと。
本家猪木派が「INOKI BOM-BA-YE 2003」をK-1ともPRIDEとも切り離した新組織で開催する、と発表したのがきっかけであった。恒例の地上波放映もこれまで二年連続で担当してきたTBSではなく日本テレビに移行するということで、業界は騒然となった。
続く11月6日には、これまで「INOKI BOM-BA-YE」を実質切り回してきたK-1側が、ブランド名を「DYNAMITE !!」に切り替えて、大相撲元人気横綱曙太郎の参戦を発表して、TBS版年越しイベントの継続を大いにアピールした。
こうなると、K-1&PRIDEを支えてきた格闘技放送の老舗フジとしても黙っているわけにいかなくなる。11月9日に東京ドームで開催された「PRIDE-GP2003決勝戦」のリング上で、統括本部長高田延彦氏が、「なぜこの世界格闘技史上歴史に残る空間に、“あの人”は来てないんですか? 猪木さんはPRIDEに背を向けてしまったんでしょうか? 私は、あえて一言だけ言います----去る者は追わず!」と猪木氏のエグゼクティブプロデューサー解任宣言とも取れるマイクアピールを行い、大晦日の興行戦争に打って出る宣言を行ったのである。