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あまりの強さに対戦者を公募?! 「誰がサムゴーを倒すのか」(上)(3ページ目)

ライト級激戦区の全日本キックにあって、エースの小林、金澤を連続撃破。あまりの強さについに対戦選手を公募するしかない“後楽園の魔神”サムゴー・ギャットモンテープとはナニモノか? 二部構成で徹底検証する。

執筆者:井田 英登

の騒動が逆にサムゴーの商品価値を引き上げる形になり、彼の人気はさらに加熱する。

続く7月には、かつてムエタイハンターとして知られたデニー・ビルの再来と称せられるエンバイエ・アブドゥライエ(WPKLヨーロッパ・ライト級王者)を対戦相手に迎えて、全日本キックのメインを張ることになった。本来外人対決でメインというのは、キック団体では珍しい現象だ。しかし、小林、金澤を破ったことで、サムゴーは三戦目にして既に全日本の“タイ人エース”として認知されていた。

実際、この日会場で50部限定で発売されたサムゴーTシャツが即売り切れるなどファンの支持もすばらしく、その人気の高さを見せ付けることになった。試合では、エンバイエのカウンターの肘を受けて流血するシーンもあったが、結果は強烈なローとミドルをぶち込みまくる怒涛の攻めで10カウントダウンを奪っての圧勝。神がかった強さをさらに印象付けている。

頭で紹介した「対戦相手募集」のリリースは、こうした経緯を受けてのものであった。

現在の全日本はライト級の花盛りで、決して選手が居ないわけではない。3月と5月には「ライト級最強トーナメント」が開催されるほどで、デビュー以来12連勝全く負け無しで全日本ライト級王者となった大月晴明と2位の花戸忍というホープ二人が決勝で激突。バッティングによる花戸の怪我でストップという不本意な結果ながら、伸び盛りの二人こそが全日本ライト級の切り札であるという事実を、満天下に知らしめている。

このトーナメントでは、サムゴーに敗れた小林、金澤の両ベテランも参戦していたのだが、まるでサムゴー戦の敗退が彼らのツキを吹き飛ばしてしまったかのように、共に不甲斐ない試合振りで1回戦負けを喫している。ただ、そのことで逆に、全日本ライトのトップはまだサムゴーに蹂躙されたわけではないということを証明する、皮肉な結果となった。

だが、現段階で、大月、花戸が勝てるかといわれればこれも疑問ではある。
大月はフック系を中心にしたハードパンチャーで、十分世界にも通用する選手ではあるが、これまで日本人中心の対戦が組まれてきた経緯もあり、対ムエタイ対策となると、まだ未知数なものが残る。特に変則的な動きを駆使しながら距離を制して殴り潰す大月のファイトスタイルが、首相撲からの肘ヒザに繋げるムエタイ戦士に通用するかどうか。また脅威の打たれ強さで、直線的なファイトを身上にする花戸にしても、ムエタイ攻略にはまだ時間がかかるだろうとしか言いようが無い。

実際、「その強さゆえ対戦を名乗り出る日本人選手がおらず、なかなか日本で試合を組みづらい状況にあります」とする全日本キック側の気持ちはよくわかる。大月、花戸の二人が育つまでの間、サムゴーに立ち向かえる人材が手元にないというのは、事実なのだから。

だからといってサムゴーに毎回“ガイジン対決”をさせていては、動員にも差し障る。せめて、大月、花戸がフル稼働で毎大会成長を見せ付けてくれていれば、直接対決へ繋がるストーリーも描けようというものだが、元々怪我が多く、精神的にも繊細な面を持つ大月は「1月4日に予定されるタイトルマッチに専念したい」と早々に11月大会の参戦を辞退し、花戸も怪我で休場。結局今回のリリースは、サムゴーvs大月、花戸の直接対決が当分無いという状況の表明でもあったわけだ。

(後編に続く)
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