■そして二機目のUFOは飛ぶのか?

現実的問題として、東京ドームは興行的には失敗であったと言うべきだろう。2万6千人と発表された観客動員は、格闘技史上でも最低の入りであり、それも実際に有料入場客をカウントしたものではない。ネットでは開催の数日前から、無料入場券を配付していると言う情報が飛び交っていたし、実際会員制のチケット販売業者では無料券を希望する会員に配付したという事実もあったようだ。また販売時には存在したはずの二階席も、大会当日には閉鎖され、一階のスタンド席へ振り変えられるというドタバタも演じられたと言う。

普通に考えれば、巨額の赤字ではないかと思われるこの興行だが、実際にそれほど巨額の赤字が発生したという話は、不思議と聞こえてこない。そこには、一見超巨大イベントに見えるこの興行の、不思議な台所事情があるようだ。まず、主催の日本テレビが、東京ドームの大株主であることから、会場使用料は、他団体が使用する場合の相場を当てはめては成らないと言う事が一つ。そして、出場した選手にしても、小川、藤田、安田、村上といった猪木事務所/UFO系の選手はあくまで支配下選手であるということ。これはU女史のマネージメントするBTT所属選手も同じ事で、要するに選手ギャラもPRIDEやK-1のワンマッチ価格とは相場が違うであろうと言う事も有る。こう考えてくると、UFO興行というのは我々が、そのスケールから類推するよりも遥かにリーズナブルな形で運営されていたという事になる。

加えて、日本テレビの支払った全国ゴールデンタイム生中継の放映権料は逆に破格のものであったというから、実際のこの興行の収支決算は、トントンもしくは黒字であった可能性すらあるのである。いわば、川村社長の周到に考え抜かれたビジネススキームと強力なコネクションがあったがゆえに、この興行は成立し、また次を伺う余力をキチンと残していると見るべきなのである。

また頼みの綱であるTV放送に関しても、今回評価の分かれ目で有ると言われた視聴率が平均10.8パーセントをマーク。事前に関係者は、15パーセント突破が次回開催へのハードルと語っていたのだが、一方でリング上にヒクソンが登場し、小川VSガファリ戦のメインが放映された大会クライマックス辺りの瞬間最大視聴率は21.2パーセントと好成績に終わっている。

要するに「役者がそろえば、勝負は可能」と判断するだけの材料がそろったと言う事になる。事実、すでにプロジェクトは来年一月に開催予定のUFO Legend2に向けてゴーサインを受けているという情報もある。

今回同様、ライバルとなるのは石井館長のプロジェクトDynamite!だ。既に館長側は年末の第二回開催を既成事実として数々のオファーを発しているといい、ドタバタ劇を繰り返した今回の徹は踏まないための、準備を進めているという。

年末と年始の同時期開催となれば、どうしてもキーになるのは、やはりヒクソンの動き次第ということになる。今回の壮大な「プロモーション」をヒクソンがどう受け取っているかについて、翌日離日したヒクソンは「プロモーションとしてはまだまだマッチメイクや審判面で改善するべきポイントは多い」としながらも、「復帰戦の相手は誰でもいいが、小川は列の先頭にいる。小川の技術には敬意をはらっている」と事実上次期対戦候補として、彼を容認したような発言を行っている。

こうなると、ヒクソンを巡る包囲網はほぼ完成に近いことが解る。後は、最後の仕上げを如何に仕上げるか。仮に小川がヒクソンと対戦するとなれば、次回のドームは今回のような動員状況ではなくなるだろう。だがその下を固めるカード編成や、イベントの運営実態などが今回のドタバタ劇を踏襲するようで有れば、ファンは如何にヒクソンであろうとも愛想を尽かしてしまうに違いない。その詰めをきちんと行えるかどうかが、この未だ実態不明確な巨大宇宙船の航路に立ちはだかる、最大の難関だと言っても過言ではあるまい。

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