中村の抱える金銭問題
中村が金に困っている…というのは誰もが信じられないだろう。中村紀洋がこれまでに稼いだ年俸は推定30億円以上。特に近鉄にFA残留した2002年シーズン以降は、年俸5億円の複数年契約を結んでいる。近鉄球団が消滅し、中村がメジャー挑戦に向かった2004年オフには、複数年契約がまだ残っているという理由で、3億円とも5億円とも言われる「功労金」を貰っているからだ。もちろん、中村には自宅豪邸などの「資産」はある。しかし、「ストック」はあっても「フロー」に困ることがあるのは世の常だ。個人事業主扱いで2億の収入があれば、国税+住民税で半分近くは税金を払わなければならない。年俸が8000万円にダウンすれば、税金にも満たないのである。
もちろん、これまでの収入を考えれば「どうにかなる」筈の金額なのではあるが、中村サイドは毎年、億レベルの自転車操業に陥っているという話もある。中村紀洋の態度を単なる「守銭奴」と批判するむきもあるが、実際にはもっと切実なものだということなのだ。
ノリにはまだ可能性がある筈だが…
他人の懐具合を探るというのは気持ちいいものではない。しかしながら、この契約更改がここまでもつれた本当の理由は、ボタンの掛け違い以上のものが横たわっていたということが感じ取れるだろう。もちろん、オリックス側の強気の交渉態度もいたずらに中村サイドを頑なにさせたという面があるし、その後他球団によるオファーの動きが結実しないのも不自然だ。球界的に「中村はトラブルメーカー」とみなす向きもあるかもしれないが、現在の動きはやや懲罰的すぎる。2月現在、北海道日本ハムなどのチームが、中村に対する契約の含みをまだ残してはいるが、キャンプが開始する段になっても中村が招聘されるということはなく、中村は事実上の「浪人生活」を余儀なくされている。2006年の成績だけを考えれば、確かに二の足を踏む球団が多いのはわかるが、潜在能力としては、フル出場して年間20~30本塁打が望めるバッターではある。そして33歳と、まだまだひと花咲かせられる年齢だ。このまま引退へと向かうには、あまりにも惜しい人材である。
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