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選手会スト決行、ペナント大詰め 『野球毎日』2004年09月号(後編)

日々の野球的よしなしごとを、そこはかとなく書き綴る日記、コモエスタ坂本の『野球毎日』。2004年09月号の後編です。

執筆者:コモエスタ 坂本

日々の野球的よしなしごとを、そこはかとなく書き綴る日記、
コモエスタ坂本の『野球毎日』。最新版はこちらへどうぞ。

2004/09/19 小一時間問い詰めたい

日本プロ野球が史上初のストライキに突入して、プロ野球のない週末となった。でも明日からはまた試合がある。今日はこのところ私の感じる強い違和感について述べたい。

お前ら、球団経営が悪いだのコミッショナーが糞だのなんだかんだ言うけど、本当はストというニュースが楽しくて仕方ないんちゃうかと。プロ野球が危機だのなんだのと騒ぐが、結局お前らが好きなのは野球じゃなくて政治なんじゃないかと。

などという違和感ばりばりになっている昨今だ。もっと問い詰めると、お前らはプロ野球のためにいくら金を使っているのか、という発言権の問題になる。ロクに球場に行って金を落としもしないヤカラが外野から球団経営がどうのこうのと色々言うのが非常に虫酸が走るのだ。

という感情論はさておき、日本における野球というスポーツは、メディアと絡めて考えるとなんとも不思議な状況になっている。まず、リアルな(球場に足を運ぶ)観客に比べて、バーチャルな(メディアを通して見る)観客の数が異常に多い。そしてバーチャル側は、金銭的な負担が殆どない。せいぜい広告等の間接負担だ。そしてさらに、メディア・アイを通してでしか、野球というスポーツを鑑賞できなくなっている人すらいる。球場に行って実況中継もない、解説もない、CMもない野球を見たところで、そこで何が起こっているのか判断がつかない観客も多かったりするのだ。それ以前にそういう人は球場に行かなかったりもするが。

勘違いしてもらいたいのは、私はリアルがよくてバーチャルがダメと言っているわけでもないということだ。スポーツの中でもとりわけ野球は、これだけメディアに情報が溢れかえっているし、その情報を多くの人が享受しているというのに、それが現場に還元されないという構造が不可思議だということを提起したいだけなのだ。それが今の情報化社会と言ってしまえばそれまでだし、例えば私が囲碁や将棋を鑑賞したとしても、新聞代(のほんの一部)やCATVの料金(のほんの一部)ぐらいしか金銭的な負担はしていない。それでもプロ棋士が存在できるという構造がある。メディアの上に存立する浮薄な存在、というのはわれわれモノ書きだってそうだというのがあるが、しかしリアルな世界に介在していない人の話というのはまともに取り合いたくないのだ。

特にウザいのが、ロクに見ていないクセに野球を愛していると言って憚らない奴らだ。おそらく野球がまだメジャースポーツだからと安心しているのかもしれない。例えば私が中国将棋(象棋)を熱く愛している、と言ったら奇異な目で見られるだろう。野球は世界的に見ればメジャースポーツなんかじゃない。そこのところをよくわきまえてくれ。

そういう私はどうかと聞かれれば、「野球を愛している」などとは口が裂けても言わない。むしろかなり冷めた目で見ていると言っていいだろう。しかし何故だか大量に野球を摂取しているし、野球の本質を理解しようとする気持ちは異常に高い。野球を通して何かを見ようとしているのだが、それにしても過剰だ。自分でも何で俺は今、成田エクスプレスと飛行機とリムジンバスと特急とタクシーを乗り継いで、台湾の片田舎の畑の真ん中にある球場で、太陽-雷公戦を見ているのだろうか、と思うことがよくある。

プロ野球のない週末。私も昨日は3連休らしく行楽っぽいことをしていた。通りがかりの空き地では、小学生が野球をやっていた。隣のグラウンドでは中学生が野球の試合をやっていた。プロ野球がストやってたっていいじゃないか。それでも野球をやっている奴は野球をやっているのだ。取り立てて騒ぐことじゃない。しかし私も取り立てて騒ぐやつがうるさいので、下の記事を書いてみた。本当にアレだ、色々聞かれるのがウザいので、取りあえず読め、綺麗にまとめてやったから、というやつだ。

今日のピックアップ:「猿でもわかる選手会ストQ&A」

2004/09/21 新庄、幻のサヨナラ満塁ホームランなど

スト明けの昨日、各地でプロ野球6試合が行われた。ロッテと日本ハムのプレーオフを賭けた熾烈な3位争い…って私もしつこいが、とにかく個人的にはそこが今一番熱いのだ。まあ3位争いも今週で終わるので勘弁して欲しい。今日はロッテの最終戦を西武ドームに見に行くし。

そのロッテは昨日のデイゲームで西武に敗れる。対する日本ハムのナイトゲーム、対ダイエー戦。先発が日本ハム入来、ダイエー新垣と聞いた時点で10-3でダイエーの勝ちだと思っていたが、ところがどっこい。

日本ハム-ダイエー戦は壮絶な乱打戦となり、最後に決めたのは新庄。12-12の同点の9回裏2死満塁、新庄が放った打球はサヨナラホームラン。ところが新庄が1塁を回ったあたりで前のランナーの田中が新庄に抱きついて来て、一回転。新庄はランナー追い越しでアウトとなる。その前に3塁ランナーはホームインしていたのでサヨナラはサヨナラなのだが、新庄のホームランは記録上シングルヒットで、幻のサヨナラ満塁ホームランとなってしまう。オチがつくあたりもまた新庄らしい。

そしてヒーローインタビューでの新庄のコメント。「今日のヒーローは僕じゃありません。みんなです!」。ストと球界激震の中、ムードを変えるという意味でもやはりただ者ではない。また、日本ハムの3位争いにもの凄く弾みがついた。新庄の賢いところは、ストや球界再編については一切ノーコメントを通したことだ。自分の発言が無責任に報道されることのリスクをよくわかっていたのだろう。

ところで昨日私は、TVの野球中継をかなりハシゴして見ていた。それぞれ面白かったのだが、最後の中日-巨人戦。中日、9回2アウトからフォアボールとヒット、逆転なるか、というところで中継終了だ。非常にデリケートな問題だが、少なくとも私は試合終了まで放送しない民放(の巨人戦)をあまり見る気になれず、NHKやCATVでの中継ばかり見てしまう。そしてスト明けにも関わらず、この試合の視聴率は9.8%。民放の野球中継離れ・巨人離れが加速しているような気がしてならない。

視聴率の話はまた今度書くことにしよう。今年の騒動でプロ野球離れが起こり始めているのは事実だが、イコール野球離れということではないと思っている。深刻な順から書くと、民放離れ・巨人離れだと思う。コアなファンはCATVやMLB中継などのコンテンツに流れているし(私もそのクチだが)、プロ野球の観客動員自体も全体では横ばい~微増の線だからだ(発表される観客数は水増しなので、詳細にはわからないが)。

まあそんなこんなで(どんなだ)、私はこれから西武ドームだ。現在のところ、ロッテと日本ハムの順位がまたまた入れ替わってロッテが4位で、借金1。今日の試合で勝てば5割で全日程終了。3位の日本ハムは現在5割、残り3試合で3位マジック2だ。ここまでの経緯からすると、今日もまた順位がひっくり返るような気(と期待)をしているのだが、どうなることやら。

今日のロッテの対戦相手である西武は、引退を発表した潮崎が先発。多分先頭打者1人だけ投げて交替かと思われるが、私は今年1勝である潮崎の、おそらく現役最後の勝利となるであろう試合をやはり西武ドームで見ている(6/11)。その試合、延長戦になってからリリーフで登板した潮崎は、往年の武器であるシンカーでロッテの李スンヨプを三振に取るなど、まだまだ味わい深かった。スンヨプ、あまりにも簡単に手玉に取られていたのだ。

球場に行こう。

今日のピックアップ:「猿でもわかる選手会ストQ&A」
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