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石毛宏典氏の四国独立プロ野球リーグ構想を検証 「四国独立リーグ構想の成算」(3ページ目)

元西武・ダイエー選手で元オリックス監督の石毛宏典氏が掲げた、四国独立プロ野球リーグ構想。四国各県1チームずつの4チームで来季からのリーグ戦実現を目指すが、果たしてその成算はどうだろうか。

執筆者:コモエスタ 坂本

四国独立リーグのビジネスモデル

非常に大雑把になることを承知の上で、四国独立リーグの収支を計算してみたい。選手年俸等にどの程度拠出し、スポンサーがどの程度の支援をし、入場料以外の売上をどの程度想定しているかなど未知数の変数が多いのだが、おおむね一般的な球団経営モデルを参考に考えてみよう。

■支出

まずは支出の面から。支出は大きく「選手年俸」「人件費(選手以外)」「運営費」の3つに分けられ、大雑把に言えばこの比率が1:1:1ぐらいだ。

【選手年俸】
250万円(平均年俸)×25人(1チーム)×4(チーム数)=2.5億円とする。

※平均年俸は独立リーグレベルとしてはやや高めに設定しているが、目玉となる選手採用等も視野に入れた場合、このぐらいは考えておくべきだろう。また選手数も1チーム22人と言われているが、多少の剰余を考えておく。

【人件費】
監督・コーチ(5名体制との話)の他に球団裏方スタッフ、運営職員等が必要。また、物販等のバイト代も含める。

【運営費】
球場使用料や移動費、その他人件費以外のもろもろの費用。物販等の売上原価も含める。

というわけで、年間支出を年俸2.5億の3倍で、合計7.5億円と試算した。各費用の上下幅を考えると、年間予算は5億円~10億円とするのが妥当なところか。

■収入

収入は大きく「入場料収入」「広告収入」「放映権等収入」「物販等収入」の4つに分けられるだろう。

【入場料収入】
現在の発表では、シーズン合計180試合の平均観衆を800人と見込んでおり、チケットは1000円に設定するようだ。これを元に計算すると、180×800×1000=約1.5億円になる。

【広告収入】
スポンサー企業から2.4億円の支援を考えているようだが、四国経済を考えるとこれをクリアするのはかなり大変だろう。四国コカ・コーラボトリングがメインスポンサーにつき、JR四国の支援も決まっているが、これら大手がかなりの額を負担しないと厳しいかもしれない。3年間3000万円のスポンサー料で企業に支援を依頼しているが、Jリーグよりも高い点で断られているという報道もある。

【放映権等収入】
四国各県に地上波ローカルTV局、またCATV局があるが、IBLJ側がどの程度の放送と放映権料を考えているかはわからない。放送局側は高校野球地方大会の放映実績はあるが、権料を高くは設定できないだろう。仮に1試合100万円で約半分の100試合の放映権が売れれば1億円になるのだが、この値段は現実的だろうか…。

【物販等収入】
物販等の収入には、飲食物・グッズ・ガイドブック等があり、球場で販売される収入が大部分になるだろう。客単価は入場料と同等ぐらいが相場なので、これも入場料収入と同じく、約1.5億円になる。

というわけで、年間収入は、1.5+2.4+1+1.5=6.4億円と試算した。年間支出の試算7.5億円に1億円強欠けるが、入場料・スポンサー収入は発表通りの試算なので、どこかで辻褄をあわせないといけない。いずれにせよ、年間5億円~10億円のビジネスモデルだということは言えそうだが、それだけの収入を確保するのは簡単だとは言えないだろう。

収入の柱となる観客動員を、1試合平均800人と控えめに見積もっているのは好感が持てるし、また現実的な線だと思うが、この数字にせよ魅力あるチーム・リーグ作りができなければ容易には達成できない。地域密着型のスモールモデルは、時流的には正しいと思うが、そのスモールさが限りなく0に近づきやすいことには注意を払わなければならないだろう。

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