ではこういった補償の問題をどう解決すればいいのかですが、アメリカでは日本で言う補償金や現在のプロ選手を譲渡するといったものではなく、FA選手を獲得した球団が移籍元にドラフトの指名権を譲渡するといった形がとられています。FA選手が権利を行使しても直接的に他球団の現役選手に影響を与える事もなく、間接的にも選手を獲得した球団から、元に在籍していた球団への補償ということも満たします。先の見えてきた実力ある選手から、将来を感じさせる若い選手へ移行するチームの新陳代謝の手助けにもなるでしょう。ドラフトとFAを関連付け戦力均衡化を合理的に図ろうとしています。

けれどもこのシステムは現在の日本では実現しそうにはありません。自由競争枠という事実上の逆指名権があるためです。しかし私は自由競争枠のシステムを廃止しても良いのではと考えます。なぜならばFA資格取得の条件においても逆指名選手は10シーズン、それ以外の選手は9シーズン出場選手登録の期間の違いなど、もし逆指名が無くなれば1選手としての入団時やFA権での不公平感も無くなり、獲得補償についても上記したドラフト・ウェーバー権の譲渡といったことも可能になるからです。

「痛みの伴う改革」ではないですが、球界では3例目の人的補償が行われ、球団側もFA選手を獲得する事以上に、手塩にかけて育ててきた選手を他球団に譲渡する厳しい選択を迫られ、現状のFA制度の問題点を身を持って感じたことと思います。もともとが選手の権利として発展してきたFA制度ですから、球団側も痛みを感じてくれている間に、より自由に行使できる権利へと改善していくべきではないでしょうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。