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外国人記者の見た日本プロ野球 「とある日本パ・リーグの試合」

2004年日本シリーズ覇者である西武ライオンズのパ・リーグ公式戦最終戦を観戦した、デビッド・ワング氏によるレポート。

執筆者:コモエスタ 坂本

2004年日本シリーズ覇者である西武ライオンズのパ・リーグ公式戦最終戦を観戦した、デビッド・ワング氏によるレポート。

はじめに

コモエスタ坂本氏のナビゲーションにより、日本プロ野球のある試合を観戦する機会を得た。日本にはセントラル・リーグとパシフィック・リーグの2つのリーグがあり、東京ジャイアンツを擁する前者の方が人気が高い。今日、私はその後者であるパシフィック・リーグのあるゲームを観る。西武ドームスタジアムでの千葉ロッテマリーンズと西武ライオンズの最終戦だ。

日本プロ野球は今年、重大な岐路を迎えた。シーズン途中の6月、パシフィック・リーグの2つの球団が経営不振を理由とした、来シーズンからの合併を発表した。2つのリーグはそれぞれ6つのチーム、合計12チームあるのだが、それが11球団になるということで日本中を巻き込んだ大騒動となった。

今日ゲームを行う両チームは、合併と関係ないのだが、選手会全体がこの合併に反対したため、数日前に日本プロ野球史上初のストライキが決行された。このストライキによって2ゲームが中止になり、日程が大詰めの中で、レギュラーシーズンが再開されたばかりなのだ。

西武ドームへの道

多摩湖の向こうの西武ドーム
多摩湖の向こうの西武ドーム
車は東京郊外を走る。やがて市街地を離れ、曲がりくねった森の中にさしかかる。目的地が近いようだ。夕日の反射する小さい湖が現れた。湖上に架かる細い橋を渡り、東京から埼玉県に入る。森の背後に白い大きなドームがその頭を出している。それが今日われわれの訪れる、西武ドームスタジアムだ。

車を止め、スタジアムへと向かう。スタジアムの前に鉄道駅がある。ライオンズのオーナーである西武は鉄道会社だ。一方のマリーンズのオーナーは、ロッテという製菓メーカーで、韓国でも球団を保有している。

西武ドームの中へ

西武ドーム入場口
西武ドーム入場口
スタジアムの中に歩を進める。西武ドームは、かつて私が訪れたどの球場とも異なる、不思議な形状のスタジアムだ。まず第一に、球場全体を周回する道があり、スタンドはその道から下に位置する。あたかも漏斗の底にあるかのようなグラウンドでプレーが行われる。また、特筆すべきはスタンドを覆っている傘のことかもしれない。このドームは完全に密閉されておらず、まるで白くて太い足のクラゲがスタジアムの上に立っているかのようだ。その足の隙間からは風が入ってくる。雨の日には、雨も入ってくるらしい。

スタンドを見渡すと、観衆の位置どりが偏っていることに気がつく。外野スタンドとその周辺だけが満員で、内野には空席が目立つのだ。この理由を聞くと、今日は自由席が無料で開放されるからだという。最終戦だからなのか、と尋ねるが、実際このような無料キャンペーンは、何かイベントにかこつけてしばしば行われるらしい。今日は最終戦であることに加え、ライオンズのあるピッチャーが引退試合に登板し、試合後にセレモニーを行うからだそうだ。

ゲーム開始

プレイボール。ゲームは6時に始まった。今日で選手生活を終えるライオンズのピッチャー、潮崎がマウンドに上がる。対するバッター、マリーンズの佐藤も今日のゲームをもって退役するようだ。マリーンズの監督は、かつてニューヨーク・メッツをワールド・シリーズに導いた、ボビー・バレンタインだ。ライオンズはパシフィック・リーグ2位を確保し、ポストシーズンゲームを確定させているが、マリーンズはこのゲームを落とすとそのチャンスを失う。しかしこの引退セレモニーは、この重要な公式のゲームの中で行われる。なかなか不思議なシーンだ。

最終対決は、潮崎が佐藤をライトフライに抑える。1アウトの後で、本当のゲームが始まり、ライオンズの本当のスターター投手が登場する。アテネ五輪にも出場した、台湾人のチャンだ。対するマリーンズのスターターは清水、彼もアテネ五輪プレーヤーだ。ゲームは静かに進行する。

【ホームラン、またホームラン】に続く→
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