1 光った攻撃的チームの“守備意識”の向上
応援に駆けつけたサポーター達も大いに歓喜した大会となった(写真は準々決勝:斉藤健仁) |
だが、得点は取っても守りきることができないことが多く、守備力の弱さがトーナメントでなかなか結果を出すことができない一因とされていた。
しかし、今回はGKイケル・カシージャス(レアル・マドリー)を中心に、センターバックのカルレス・プジョル(バルセロナ)、カルロス・マルチェナ(バレンシア)、そして2人のセンターバックの前に位置するワンボランチのマルコス・セナ(ビジャレアル)の働きも見事だった。
両サイドバックも常に攻撃参加するわけでもなく、しっかりと守りを固め、さらに今大会では中盤の選手が得点だけでなく守備にも献身的な役割を果たしていたことも大きかったのではないだろうか。
それが予選では12試合6失点、グループリーグでは3失点、決勝トーナメントでは無失点という結果に出ていた。2006年W杯ドイツ大会でもグループリーグでは1失点だったが、決勝トーナメントに上がると1-3でフランスに大敗したことを考えると、今大会のスペインの強さは本物だった。大会優秀選手23人中9人がスペインの選手だったことも納得である。
2 プレミアリーグで培った国際経験
イングランドでの経験が成長に結びついたF・トーレス(Photo:Getty Images/AFLO) |
本大会でも、登録選手23名中19名がリーガの選手とこの傾向は大きく変わってはいない。だが、フェルナンド・トーレス(リバプール)、セスク・ファブレガス(アーセナル)と、チームを牽引した2人がイングランドで経験を積み、結果を出していたことは特筆すべきだ。2人とも24才、21才と若い選手だが、2年前のW杯時に比べて格段に成長したことがうかがえる。
イングランド・プレミアリーグは、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグのベスト4に3チームを輩出している、現在最も勢いのあるリーグと言えるだけに、そこで自信をつけた若手選手がスペインにとっては大きな力となったはずだ。もしかしたら、今後、スペイン人選手がイングランドでプレーする機会が増えるかもしれない。