“明暗”を分けたCLでの活躍
絶好調でついにドイツ正GKの座を手に入れたレーマン(© EPL) |
ドイツは2002年の前大会で準優勝したものの、04年に行われた欧州選手権ではオランダ、チェコと同組になり1勝も出来ずに敗退。統一ドイツとして初のW杯自国開催を控え、代表のてこ入れを余儀なくされたドイツは、かつての代表主将クリンスマンを監督に抜擢したのだった。
開催国として予選免除であったため、クリンスマンは、独自路線で若手中心のチーム作りを敢行した。「どの選手にもポジションは確約されていない」――それはGKも例外ではなかった。日韓大会MVPのカーンを“ディフェンディングチャンピオン”、レーマンを“挑戦者”と位置づけて、ともに36歳と同い年の2人のベテランGKを競わせた。
3月に行われたイタリア戦、GKはレーマンで臨んだドイツは1-4と惨敗。この試合で失点を重ねたレーマンと監督への批判が高まりを受け、カーンは自身のNo.1の座を確信していたかのような態度を見せていた。
しかし、それから1か月も経たないうちに、それは大きな失望に変わったのだった。「監督として最も難しい決断だったが、この1年10か月の内容を分析して検討を重ねた結果だ。」クリンスマンはドイツサッカー協会の公式発表でそうコメントした。だが、2004年8月から今年の3月まで、17の国際親善試合で、ほぼ半々にカーンとレーマンを起用したドイツだが、その内容は互角であるように思われた。
やはり決め手となったのは、CL(チャンピオンズリーグ)での両者の活躍の差だろう。7試合で8失点のカーンに対し、今シーズンCL無敗のアーセナルのレーマンは、10試合でわずか2失点(現在8試合連続無失点中)と絶好調で、特に決勝トーナメントのレアル・マドリー戦やユベントス戦で見せたスーパーセーブは、チームを初のベスト4へ導いた立役者であった。リーグ戦での戦いぶりはバイエルンの方が上だが、アーセナルも今年に入ってから復調し始めており、そうしたチームの勢いも、レーマンを印象づけることに繋がったのだろう。