ニジマスなどトラウトの習性……住み分けを考える
標高の高い湖はトラウトのパラダイス。こうした自然のシチュエーションの場合、魚達の行動にはパターンがある
回遊する魚、定位する魚
トラウトには大きく分けて回遊性の高い魚と、障害物でじっとしているような定位性の強い魚がいる。回遊性の高いトラウトの代表はヤマメやサクラマス、それにニジマスも回遊することが多い魚だ。定位するトラウトといえば、ブラウントラウトがもっとも代表的。イワナやブルックトラウトも湖ではシャローの障害物、というよりも物陰が大好きな魚だ。日本の自然湖沼では見られないイトウもポンド型の管理釣り場では障害物が好きなタイプだといえる。湖では回遊性の高いトラウトは主にエサを摂りやすい場所を目指して水通しの良いエリアを通ることが多い。代表的な地形としては岬周りやシャローが隣接するカケアガリなどがある。逆に定位性の強いトラウトは流れ込みのあるワンドの立木や、大きな岩が点在する岬などが上げられる。ただし、こうした定位性の高い魚もエサを摂るときはカケアガリに沿って移動してシャローでベイトを捕食する。こうして考えれば分かるように、キーとなるのがカケアガリの存在だ。
上の図はそれをイメージにしたものだが、表層を大きく回遊しているのがニジマスやヤマメ、サクラマスなど、カケアガリ沿いに移動を繰り返すのがイワナやブラウントラウトなどとなる。すべてのシーンに当てはまるわけではないが、ポンド型の管理釣り場でもトラウトたちの行動は概ねこのような感じだと思えばよいだろう。
管理釣り場ではトラウトをどう釣ればいい?
管理釣り場に着いたら、まずはフィールドをよく観察してみよう。カケアガリはどこにあるのか? 魚が隠れることができそうな障害物はあるのか? 様々な要素を考慮して狙いたい魚に合わせてポイントを選ぶことが大切になる。流れ込みがあれば、水流や泡に隠れるために多くの魚が寄ってくるだろうし、人気の少ないカケアガリやシャローがあれば大型のトラウトがエサを待ち構えているかもしれない。空いているスペースに入って漠然とルアーやフライを投げているだけでは運が良くないと狙ったトラウトにはなかなか辿り着けないのだ。
トラウトフィッシングのシミュレーションしてみよう
上のようなポンド型管理釣り場があったとしよう。ポイント選びという観点から見れば、水車が作る流れの帯を狙えばニジマスやヤマメなどがメインとなり、岩など障害物周りやカケアガリの肩から岸沿いシャローにかけてはイワナやブラウントラウト、イトウなどの狙い目となる。もちろん、管理釣り場というシチュエーションなので、それがすべてとはいえないが狙ったトラウトを釣るという確率はアップするはずだ。例えば回遊するニジマスやヤマメをルアーで狙うなら、少し沖へマイクロスプーンを投げて表層を引いてくるのがよいだろうし、イワナやブラウントラウト狙いなら比較的岸近くのディープをじっくり引いたり、ボトムバンピングでアピールさせたりするのも効果的だろう。フライの場合は、沖のライズをドライフライで叩いてみるとニジマスやヤマメ、カケアガリの肩付近でニンフのルースニングをすればイワナやブラントラウトが狙いやすいはずだ。それぞれのメソッドについては後日詳しく解説するが、意識的に釣り分けをしようと思えば、狙い方も少しずつ変わってくるということだ。
トラウトを狙うおすすめの季節や天候は?
釣り場の地形的な特長を捉えたら、次のステップは気象だ。自然の湖沼の場合、その日の気圧や風向きはポイント選びの大きな要素になるのはご存知のとおり。もちろん、管理釣り場でもそれは同じ。夏の晴天なら魚達は日差しを避けられる底近辺を回遊するだろうし、涼しい季節の夕方に池の水生昆虫たちが羽化すれば一斉に捕食しはじめる。気圧が高いと魚は沈みがちになりやすく、逆に気圧が低ければ水面付近を回遊しやすい。また、風下は酸素をたっぷり含んだ水が多くなりベイトもたまりやすい。こうした一般的な傾向は自然湖沼よりも顕著ではないものの、管理釣り場でも当てはまるケースが多いのだ。 このほか、管理釣り場で気をつけたいことは、そこの水がどこから来ているかだ。みなさん知ってのとおり、トラウトは冷水性を好む性質がある。安定した水温の湧き水や清流の水を利用していれば、よほどの炎天下で無い限り釣りは可能となるが、プールに中流域の川の水を引き込んでいるようなフィールドでは、水温が上昇する初夏から晩秋まで釣りづらい時期になってしまう。こうした要素をすべて考えてポイントを選ぶのは非常に難しい。特に混雑している人気フィールドでは、狙い通りの場所に入れないことも多いだろう。
だが、自分の考えたとおりのポイントで思ったような釣りができたら、楽しさは倍増するはず。漠然と席をとるだけではなく、アングラーとしてもう一歩先へいくためにも必要な思考なのだ。
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