学校や周辺の商業施設など外部とも連携
「日本×画展」の会期中にランドマークプラザで実施された しりあがり寿さんによるワークショップ風景 |
例えば「日本×画展」の会期中には、出品作家であるしりあがり寿さん、中村ケンゴさんによるワークショップが近隣の商業施設内(ランドマークプラザ)で行われました。美術館と周辺の施設が協力することでそれぞれがより充実したサービスを提供でき、相互に集客効果を得ることもできます。
また、「アイドル!」展では地元の高校生(橘学苑高等学校デザイン美術コース生)をゲストキュレーターに起用して関連事業の立案を行ってもらったり、慶應義塾大学アートセンターと提携して出品作家へのインタビューや広報用資料の制作、出口調査やモニタリングなど展覧会の広報に関する調査活動を大学生に行ってもらうなどしています。
このような学校機関との連携には、美術館の活性化や企画実施において充実した視点を取り入れる狙いもありますが、同時に美術館だからこそできる教育サービスを提供しているといった意味もあり、広い意味で地域に貢献していると言えるでしょう。
このように、館内だけでなく、館外でも様々な取り組みを試みている点が調査でも評価をされたのです。
開館記念日には「ミュージアム・フェスタ」を実施
石田尚志と足立智美によるライブセッションを美術館前で実施 |
そして今年の開館記念日に実施されたのが「ミュージアム・フェスタ」です。2004年、2005年に続いて展覧会を無料で観覧することができるのはもちろん、下記のようなイベント・プロジェクトが実施されました。
- 炎のアートライブパフォーマンス:
「アーティスト・イン・ミュージアム 横浜」の映像作家の石田尚志とサウンドパフォーマーの足立智美によるライブセッション - 「アイドル!」展 アーティスト・トーク:
「アイドル!」展出品作家の西野正将によるトークショー - 美術館探検ツアー:
ふだん見ることができない美術情報センターの書庫や美術作品を運ぶエレベーター、アトリエの専門機材に触れることができるツアー - 2007年度企画展ラインナップ説明会:
構想段階のものを含めて、来年度の企画展をいち早く紹介する説明会 - 横浜美術館の作品収集と新収蔵作品についてお話しします:
収蔵作品が収集されるまでの手順や展示中の新収蔵作品を紹介するレクチャー - 美術の時間ですよ:
日本画の描き方や美術作品の魅力を学芸員が解説するレクチャー - しりあがり寿作品販売会:
「日本×画展」に出品された作品を入札形式で販売 - 「愛のあるベンチ」プロジェクト:
美術館の前に置くベンチを制作、設置 - 美術館ライトアップ:
白っぽい美術館をカラフルにライトアップ
ふだんは見れない書庫などをめぐる「美術館探検ツアー」の様子 |
もちろん全て参加無料!それにしても盛りだくさんの内容です。私もラインナップ説明会やアートライブパフォーマンスに惹かれて出かけましたが、結局既に一度見ている展覧会をもう一度見てみたり、レクチャーなどにも参加して楽しみました。
入り口ではプログラムの案内と「横浜美術館新聞」なる活動紹介が一緒になったパンフレットが配布され、たくさんのお客さんで賑わっていました。館内のいたるところで黄色いジャンパーを着た職員の方々が対応され、雰囲気は正にフェスティバル。
「アイドル!」展開催中ということもあると思いますが、普段とは異なり家族連れの方も多く、この日は何と5,000人以上の入館があったそうです。
どのイベントにも熱心に参加されている方がいたり、あるいは買い物の合間にちょっと立ち寄ってみましたという雰囲気で気軽に楽しんでいらっしゃる方がいたりと、様々なお客さんがいたのが印象的でした。
このように、いわゆる美術館らしい展覧会やイベントだけではなく、様々な企画を立案し結果を出している――。この日、通常時も様々な取り組みを行う横浜美術館の「実力」を垣間見たような気がします。
最後のページでは、館長さんのコメントをご紹介!