アート・美術展/アート・美術展関連情報

アンディ・ウォーホルとポップ・アート(2ページ目)

1960年代に台頭したポップ・アート。その代名詞的存在であるアンディ・ウォーホルとロイ・リキテンスタインの作品とポップ・アートの系譜をご紹介します。

執筆者:橋本 誠

マリリン・モンローを作品に

ウォーホルは、カーネギー工科大学を卒業後ニューヨークへ移り、商業デザイナー・イラストレーターとして成功していましたが、1960年にはファインアートの世界に移ります。

始めは漫画をモチーフにした作品を制作していましたが、同様のモチーフで一世を風靡したリキテンスタインの作品に触れて以降は主題を変え、身近にあったキャンベル・スープの缶やドル紙幣を描き始めました。

1962年には、シルクスクリーンプリントを用いて作品を量産するスタイルをとるようになっていきます。モチーフには、キャンベル・スープと同様に大衆的で、話題に富んだものを選びました。中でも有名なのは、映画スターのマリリン・モンローをモチーフにした作品です。

ポスター販売サイト「ミュージック・バイ・アート」で扱われている、マリリン・モンローを題材とした作品《サンデー・B・モーニング》(ウォーホル非公認版)紹介ページのリンク>>こちらから

誰にでも分かる作品

『七年目の浮気 特別編』
ウォーホルは当時の理想的な女性の象徴、マリリン・モンローを描いた
マリリン・モンローは、20世紀アメリカのマス・メディアがつくりあげたセクシーな女性像の象徴だと言えるでしょう。当時のアメリカではもちろん、世界中でその存在が知られていたはずです。ウォーホルの狙いは、彼女の存在そのものを描くことではなく、人々の中に作りあげられた女性像の「イメージ」を扱うことにあったと考えられます。

だからでしょうか。作品はモンローの写真を利用しているものの、決して現実に忠実な表現ではありません。シルクスクリーン版には派手な色彩が用いられ、写真の版とはわざとずらして印刷が行われています。

しかし、人々は皆、けばけばしい画面の中にモンローという名の女性イメージをたやすく見つけるでしょう。そして、作品について何の説明がなくとも、彼女が演じるキャラクターや、メディアで伝えられる挙動など様々なことを想起させられます。

それまでの、見る人の知識量やバックグラウンドが作品の読解を大きく変えてしまう、高尚な「芸術」とは全く異なり、誰もが自由に解釈することのできる作品だったのです。

次のページでは、ウォーホルが用いたシルクスクリーンの手法をご紹介します!
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