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新しい表現が集う<文化庁メディア芸術祭>(3ページ目)

アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガなどメディア芸術を表彰し広く紹介する<文化庁メディア芸術祭>をレポート。

執筆者:橋本 誠

充実したラインナップの「アニメーション部門」

アニメーション作品やデジタル技術を用いて作られた映像作品などを対象とした「アニメーション部門」。アート性の高いものから、テレビ放映や劇場公開が行われているエンターテイメント作品まで、幅広い作品が紹介されていました。

《浮楼》
《浮楼》(c)榊原澄人
シンプルな画面の中に巧みにストーリーを取り込んだ作品
派手な技術や表現が目立つ中で、榊原澄人・作《浮楼》は絵巻物のような平面的な構図で延々と小さな街並みが映し出されるシンプルなアニメーション作品を発表。画面のあちらこちらで、猫を追いかける、自転車に乗る、杖をついて歩く、雨宿りをするなど人物がそれぞれの生活を営む様子が四季の変化と共に描かれています。全体として大きなストーリーがあるわけではありませんが、画面の中で展開されるいくつもの小さなストーリーを楽しむことができる作品です。(アニメーション部門大賞作品)

その他には、人形アニメーションの第一人者・川本喜八郎の作品や、多彩な技法で短編アニメーションを制作する山村浩二の作品も。とても1日では全て見ることができない、充実したラインナップでした。

人気作品も集まった「マンガ部門」

《Web4コマ漫画》
《Web4コマ漫画》(c)Yoshio Nakae
4コマ目をクリックすると別の画が現れる

マンガ作品/ストーリーマンガ、コママンガ、オンラインマンガなどを対象とした「マンガ部門」。いわゆる流通出版物だけでなく、デジタル技術を取り入れることで新しい見せ方を試みた作品や、一般流通では見ることのできない独創的な表現を用いた作品などが紹介されていました。

中江嘉男・作の《Web4コマ漫画》は、特別高度な技術を用いた作品ではないですが、4コママンガの起承転結をきちんと踏まえつつも、「結」に当たる4コ目をクリックすることでインタラクティブにオチが展開する楽しい作品でした。(マンガ部門奨励賞作品)

その他には手塚治虫の『鉄腕アトム』をリメイクした浦沢直樹の人気マンガ『PLUTO(プルートゥ)』などが紹介されていました。



いかがでしたでしょうか。ひと口に「メディア芸術」と言っても、実に多様な作品があることがお分かりいただけたと思います。特に映像表現やマンガ表現は日本が得意とする分野でもありますので、このような機会に多くの作品に触れることができるのはうれしいものです。<文化庁メディア芸術祭>は毎年開催されていますので、ご興味を持たれた方は次回以降、足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

また、同展が紹介されている「文化庁メディア芸術プラザ」では、様々なメディア芸術関連の情報を発信していますので要チェック!
 
オールアバウト「アート・美術展」サイトでは、今後も様々な展覧会・イベントのレポートをしていきます。お楽しみに!

【平成17年(第9回)文化庁メディア芸術祭】
■主催  文化庁メディア芸術祭実行委員会(文化庁・CG-ARTS協会)
■会期  2006年2月24日(金)~3月5日(日) 会期中無休
■会場  東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3)
■入場料 無料
■問合せ CG-ARTS協会内「文化庁メディア芸術祭事務局」
      フリーダイヤル 0120-454536
      e-mail contest@plaza.bunka.go.jp

・関連サイト 文化庁メディア芸術プラザ……メディア芸術祭の情報のほか、関連する情報を公開。
・関連サイト CG-ARTS協会……メディア芸術祭開催のほか、CGクリエイター検定・CGエンジニア検定・マルチメディア検定の実施などを行う協会。
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