人気作家たちの華麗な競演
編者の作品を含む5編を収めた"上巻"にあたる1冊。ドートマンダーやケラーに再会できるファン必読の書だ。 |
あえて傾向を挙げるとすれば、上巻にあたる『十の罪業 RED』に人気キャラクターが登場しているのに対し、下巻にあたる『十の罪業 BLACK』では"単独の物語性"が重視されている。前者にはマクベインの〈87分署〉シリーズ、ウェストレイクの〈怪盗ドートマンダー〉シリーズ、ブロックの〈殺し屋ケラー〉シリーズなどが揃っており、後者にはディーヴァーのサスペンスやキングの"9・11"テーマの異色作などが収められている。つまりは――両者を併せて読むことで――様々な楽しみ方ができる構成になっているわけだ。マクベインは本書の完成直前(2005年7月6日)に逝去し、ウェストレイクは邦訳版の刊行直前(2009年12月31日)に亡くなったが、そんな偶然もまた本書の背負った"業"なのかもしれない。
【関連サイト】
・十の罪業…東京創元社公式サイトの新刊紹介ページです。