ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

『告白』の著者・湊かなえの最新作

デビュー作『告白』で大評判を博した湊かなえ。その第2作が早くも登場です。

執筆者:福井 健太

昨年度の"新人王"湊かなえ

『告白』
生徒に娘を殺された中学教師の報復は、多くの波紋を経て破局へと突き進んでいく。高い評価とセールスを記録した大型新人のデビュー作。
国産ミステリー界の"新人王"を投票で選ぶとすれば、昨年度の栄誉に輝くのは湊かなえに違いない。湊かなえは1973年広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。2005年に第2回BS‐i新人脚本賞に佳作入選し、2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞と第29回小説推理新人賞を獲得した。後者の受賞作「聖職者」を第1章とした初長編『告白』は"週刊文春ミステリーベストテン"の第1位と『このミステリーがすごい!』の第4位にランクインしている。そんな華やかなデビューの経緯からも、いかに大型新人であることは一目瞭然だろう。

『告白』はこんな物語だった。第1章にあたる「聖職者」では、中学校教師の"このクラスの生徒に娘を殺された"という挨拶を通じて、彼女のグロテスクな復讐計画が淡々と述べられていく。第2章「殉教者」で女子生徒の視点から殺人犯たち――下村直樹と渡辺修哉の姿が描かれた後、第3章「慈愛者」では下村の家族、第4章「求道者」では下村自身が語り手を務めることになる。独善的な人々の"語り"によって殺伐としたドラマを描いた傑作なのである。

次のページでは『少女』を御紹介します。
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