大倉崇裕のプロフィール
大倉崇裕は1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒。1997年に「三人目の幽霊」で第4回創元推理短編賞佳作、翌年に「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞を受賞し、2001年に短編集『三人目の幽霊』で単行本デビュー。落語をモチーフにした謎解きもの、怪獣マニアの生態を描くアクション小説、女性警部補の活躍する倒叙ミステリーなどで人気を博し、2005年には『ウルトラマンマックス』のテレビ脚本も手掛けている。これらの作品からも解るように、基本的には趣味を作品に昇華するタイプの"マニア気質の作家"と言えるだろう。軽妙な落語ミステリー
新人編集者・間宮緑が配属されたのは落語雑誌の編集部。唯一の上司である編集長・牧大路は天才的な洞察力を持つ名探偵だった。記念すべき単行本デビュー作。 |
怪獣マニアが跋扈する怪作と
日本版"刑事コロンボ"
400万円相当のレアグッズの争奪戦が始まった。最後に笑うのは誰なのか? 怪獣おたくの著者が本領を発揮した異色のアクションミステリー。 |
著者は〈刑事コロンボ〉シリーズの熱心なファンでもあり、かつて「円谷夏樹」名義でノベライズを担当したほか、同シリーズの翻訳を手掛けたこともある。そんな著者が"日本版刑事コロンボ"こと『福家警部補の挨拶』を執筆したのは自然な成り行きだった。本書には「最後の一冊」「オッカムの剃刀」「愛情のシナリオ」「月の雫」の4編が収められており、いずれも倒叙ミステリーのスタイルで書かれている。犯人の視点から事件を描いた後、ヒロインが犯人を追い詰めるプロセスを綴っていく構成は、小説のみならずテレビドラマの愛好者にも親しみやすいものだろう。
次のページでは最新刊『聖域』を御紹介します。