著者の代表的シリーズ
ついに邦訳スタート!
教会へ逃げ込んだ殺人犯が殺された事件は、教会の秘密と国家を揺るがす陰謀へと繋がっていく。〈ヒュー・コーベット〉シリーズの開幕編。 |
その第1作"Satan in St. Mary's"の邦訳が『教会の悪魔』である。金匠のローレンス・ダケットは、妹を誘惑した商人ラルフ・クレビンを刺殺し、司直の手が及ばない教会へと逃げ込んだ。やがて密室でダケットの首吊り死体が発見され、国王の命令で派遣されたヒュー・コーベットは自殺に偽装した他殺だと看破するが、これは巨大な陰謀の一端に過ぎなかった。他の邦訳作品と同じく、不可能犯罪の謎解きに期待すると肩すかしを食わされるが、当時のムードとオカルティズムに満ちた陰謀劇――いわば"歴史活劇"としてはすこぶる興味深い。状況を深く理解するには多少の知識が必要になるが、それを抜きにしても古風なスパイものとして楽しめるはず。続編の邦訳が楽しみな限りなのである。
【関連サイト】
・ポール・ドハティ公式サイト…著者の紹介と著作リストが掲載されています(全文英語)。