21世紀のナンシー・ドルー

『ナンシー・ドルー ファベルジェの卵』
ヴァリンコフスキー家の家宝「ファベルジェの卵」が盗まれた。ナンシーは卵を取り戻すべく捜査を始めるのだが……。
前のページでも軽く触れたように、2004年からは〈ナンシー・ドルー〉の新シリーズが――年に数冊のペースで――上梓されており、最初の2冊はすでに邦訳されている。旧シリーズの邦訳版とは異なり、表紙イラストはややアニメ絵風だが、内容は堂々たる〈ナンシー・ドルー〉ものにほかならない。

新シリーズ第1弾『ナンシー・ドルー ファベルジェの卵』では、近所の「ズッキーニ破壊事件」を調べていたナンシーが――偶然知り合った――フランス人の屋敷で起きた「ファベルジェの卵」盗難事件に巻き込まれる。親友のベス・マーヴィンとジョージ・フェインの力を借り、現場に居合わせた4人の青年を調べるうちに、ナンシーは意外な事実に辿り着くのだった。ファベルジェは19世紀末から20世紀にかけてロシア王室に仕えた宝石商で、細工を施した卵形の装飾品「インペリアル・イースター・エッグ」の製作で知られている――と聞けば「あれのことか」と思い当たる人も多いだろう。

『ナンシー・ドルー 戦線離脱』
チャリティレースでトラブルが続発。ナンシーたちは事態を収拾できるのか? そしてレースの行方は?
第2作『ナンシー・ドルー 戦線離脱』のナンシーは、ベス、ジョージ、恋人のネッド・ニッカーソンとともに、リバーハイツで開かれるチャリティ自動車レースに参戦している。何者かにレースの妨害を受け、さらに募金が盗まれてしまい、ナンシーは犯人探しに悪戦苦闘するのだが……。

時代背景が発表年に沿っているため、初期作品ではロードスターを乗り回していたナンシーも、新シリーズでは携帯電話やGPSを操っていたりする(年齢は常に18歳)。その点では「別物」に見えるかもしれない。しかし時代がどう変化しようと、シリーズの理念が守られている限り、ナンシーの普遍的な魅力に変わりはない。旧シリーズから読むか、新シリーズを試食するか――どちらの扉を選んだとしても、安心感のあるキャラクターとストーリーを楽しめることは確実なのだ。

【関連サイト】
ナンシー・ドルー・ミステリ…東京創元社の〈ナンシー・ドルー〉シリーズ紹介ページです。

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