なんと、ひつじが探偵役をつとめるミステリーが登場! 『ひつじ探偵団』と魅力的な動物が出てくるおすすめミステリーをご紹介します。
羊たちの饒舌!?レオニー・スヴァン『ひつじ探偵団』
とにかく羊たちがカワイイ |
舞台はアイルランドの牧草地・グレンキル。そこである日、胸に深々と鋤が突き刺さった老羊飼いジョージの死体が見つかります。第一発見者である羊たちは、グレンキル一賢い羊・メイプルの提案で、ジョージの死の謎を探り始めるのですが……。
動物の視点にした場合、難しいのはどこまで人間の世界を共有させるかだと思います。つまり、まったく羊の見方にしてしまうと、読者は何がなんだかわからなくなってしまいますから。その点、著者は巧くて、ジョージは羊たちに本を朗読してあげていたという設定になっています。だからジョージの羊たちは、多少は人間の文化や考え方について聞きかじっているわけです。
とはいえ、やはり羊ですから、捜査は困難の連続。羊飼いを亡くした彼らの行く末も問題になります。でも、どんなトラブルも彼らなりの方法で乗り越えていく。特に新しい羊飼いの陰謀に気づいた羊たちがとった対策が傑作!(298ページ) ジョージから読んでもらっていた本の内容が、こんなところでリンクするとは。思わず笑ってしまいました。
ミステリーとしてはどんどん錯綜していく人間関係が読みどころですが、本書はなんといっても羊たちのキャラクターの魅力的。ガイドのお気に入りは、一番食いしん坊で一度記憶したことは決して忘れない羊・鯨のモップル。モップルのお陰で、草が美味しそうに(!)見えます……。
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