「決まっているじゃない、私たちはいつまでも友達よ」女同士の濃密な関係を描く長編小説 |
<内容紹介>
ライターの楢本野江、格安の値段でマンションの最上階の部屋を手に入れた田宮瑤子、同じマンションの2階に住む吉崎満紀子、元タレントの井沢詩織、瑤子の学生時代からの友人・小松佳苗、そして女検事。6人の女性を中心にしたパートを横糸に、月刊誌の連載記事を縦糸にして、ある二重殺人の謎が徐々に明らかになっていく。
きっかけは東電OL殺人事件
ガイド:まず着想のきっかけからうかがえますか?真梨さん:着想自体は東電OL殺人事件が起こった1997年までさかのぼります。当時、事件のことがかなりセンセーショナルに、スキャンダラスに報道されていたんですね。被害者になった方は私よりも少し世代は上なんですけれども、私自身もひとり身でずっと仕事をしてきて30歳過ぎて「これからどうなるのかなぁ」と思っていたときだったので、ぼんやりと気になっていたんです。その後、佐野眞一さんの『東電OL殺人事件』などを読んでさらに興味が膨らんで、働く女性たちの物語を書きたいなと思うようになったんです。
真梨幸子(まり・ゆきこ)。宮崎県生まれ。第32回メフィスト賞受賞作『孤虫症』でデビュー。ほかの作品に『えんじ色心中』がある。「群像」「ミステリマガジン」でも執筆中。 |
ガイド:『孤虫症』もそうでしたけれども、『女ともだち』も瑤子と佳苗、野江と女検事など女同士のドロドロした関係が描かれていますね。
真梨さん:もちろん、女性がみんなこんなふうだと思っているわけではないんです。たぶん読者のなかには「これはやりすぎだ」と思う方もいらっしゃるでしょう。実際、すごくデフォルメしています。ワイドショーでとりあげられそうなステレオタイプな人たちを、もっとデコレーションして描けば、逆にリアルになるんじゃないかという考えがありまして。
ガイド:確かに、登場する女性がみんな、行くところまで行っている感じです。
真梨さん:そうなんです。すごく極端な、テンパっている人ばかりなんですよね。もっとおとなしい人も出てきていいんじゃないかと思うんですが、私と同世代の女性って負けず嫌いの人が多いんです。
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