気になる!小市民シリーズの謎
『春期』はいちごタルト、『夏期』はトロピカルパフェ。どうやら『秋期』はモンブランらしい。 |
何があったのか、手がかりになりそうな台詞を抜き出してみます。
【謎を解きたくないわけ】
「仮に、解いたとして。それを伝えるのが、嫌なんだよ。こうこうこうで、こうなりましたっていう、あの解説がさ」…『春期』P93
【中学のときに何があったのかについて】
「カウンターでストレートをもらって、ロープから跳ね返ったところにフックをもらって、崩れかけたところにアッパーをもらった。(中略)文句なしノックダウンさ。ぼくは小賢しかった、けれどそれは自慢になるようなものじゃないって、心底思い知ったんだ。二度と調子に乗った知恵働きはしないって決めるのに、充分な打撃だったよ」…『春期』P199
夏目漱石『草枕』の有名な冒頭、〈智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。〉という文章を思い出しました。集団のなかで突出したのがきっかけで、傷ついてしまう。いつの時代も、変わらない悩みなのかも。
とにかく、今後の展開が楽しみなシリーズなのです!
<関連リンク>
・汎夢殿米澤穂信公式サイト。シンプルなテキストサイトで、見やすいです。最新情報は「お知らせ」「近況報告」をどうぞ。著者による登場人物一覧リストもあります。
・渋 皮 栗小市民シリーズの美しい装画を描いている、片山若子公式サイト。2006年5月2日~7日まで福岡のギャラリーで個展を開く予定だそうです。日記に情報が掲載されています。