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村上春樹から出発!翻訳ショート・トリップ(2ページ目)

新訳『ティファニーで朝食を』が話題の村上春樹から出発! 翻訳家を軸に海外文学の魅力を探るショート・トリップ。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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現代アメリカ文学といえば柴田元幸ステーヴン・ミルハウザー『ナイフ投げ師』

ナイフ投げ師
<DATA>タイトル:『ナイフ投げ師』出版社:白水社著者:スティーヴン・ミルハウザー訳:柴田元幸価格:2,100円(税込)
現代アメリカ文学の研究者であり、ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、リチャード・パワーズなどの翻訳者としても知られる柴田元幸。作品の選択眼に定評があり、一度その訳書を楽しんだ読者なら、新刊が出るたびに手に取らずにはいられない。

最新刊はスティーヴン・ミルハウザーの『ナイフ投げ師』

ミルハウザーを好きになることは、吸血鬼に噛まれることに似ていて、いったんその魔法に感染してしまったら、健康を取り戻すことは不可能に近い。

と、訳者あとがきに書いてあるが、まさにマジカルな短編集だ。アシスタントに向かって、身体が傷つくか傷つかないか、ギリギリのところにナイフを投げる――そんなシンプルな芸を売り物にするナイフ投げ師ヘンシュ。彼の公演を見に行った「私たち」は異様な出来事を体験する。ヘンシュが最後に優雅なお辞儀をするシーンに戦慄と恍惚をおぼえる表題作を含めた12編を収録。

〈高い木々の下で、月光はしんしんと降りつづけた〉といった情景描写が美しく、自動人形劇場や気球、百貨店や遊園地など、“人が造った夢のアイテムや空間”にわくわくさせられる。

スティーヴン・ミルハウザーのデビュー作『エドウィン・マルハウス』の訳者であり、『ねにもつタイプ』で講談社エッセイ賞を受賞した翻訳家は? 答えは次ページに。

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