あふれるユーモア『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』
<DATA>タイトル:『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』出版社:ヒヨコ舎著者:川上未映子価格:1,890円(税込) |
ガイドがお気に入りのエピソードは「キャロルとナンシー」。昔、シルバニアファミリーという動物キャラクターで遊ぶドールハウスが流行った(今も人気らしい)。ミニチュアだけれども精巧な家具は高く、川上さんとお姉さんはお小遣いを貯めてやっと買いに行くことにしたのだが――という話。川上姉妹が可愛くて、オチに大笑い。他にも牡蠣(かき)カレーを食べたら犬の匂いがしたとか、サボテンにサボコという名前をつけて慈しんだりとか。内容の楽しさもさることながら、文章の芸ももちろん堪能させてくれる。
哲学的な問いかけ『わたくし率イン歯ー、または世界』
<DATA>タイトル:『わたくし率イン歯ー、または世界』出版社:講談社著者:川上未映子価格:1,365円(税込) |
『わたくし率イン歯ー、または世界』は、“歯”という身近なものを切り口に、“わたし”から性別や年齢などさまざまな属性や情報を除いた後に残る〈ドーナツの穴っぽいものがこう、ぐんと詰まってるような〉もの――大ざっぱにいえば“わたし”の本質――に迫った小説。大阪弁によるテンポの良い語り口で一気に読ませる。
鋭敏な言語感覚『先端で、さすわさされるわそらええわ』
<DATA>タイトル:『先端で、さすわさされるわそらええわ』出版社:青土社著者:川上未映子価格:1,365円(税込) |
デビュー作を収録した『先端で、さすわさされるわそらええわ』は、言葉にならないものを言葉にしようとする川上未映子の鋭敏な言語感覚を味わえる1冊だ。詩のような小説のような文章は、物語性があまりないので最初は読みづらく感じるかもしれない。が、好きな表現が見つかればハマること請け合いだ。
【関連サイト】
・「川上未映子の純粋悲性批判」…川上未映子の公式ブログ。小説も面白いが日記も面白い。芥川賞受賞の感想なども書かれています。
【他にもこんな本はいかが?】
・「最新ガイドおすすめ書籍」…ガイドが最近読んだ本の感想を紹介しています。