新本格推理作家、法月綸太郎、久々の長編!もちろん、同名の作家探偵が登場 |
『生首に聞いてみろ』
・法月綸太郎(著)
・価格:1890円(税込)
この本を買いたい!
■名探偵・法月綸太郎、再降臨!著者、久々の長編本格ミステリー
著者と同名、同業の名探偵が活躍する『法月綸太郎の大冒険』などで知られる著者。本作は、約10年ぶりの長編作となる。著者は、ミステリー好きにはお馴染み、綾辻行人、有栖川有栖らとともに、京都を拠点として活躍してきた「新・本格」陣営のひとりである。
本格ミステリーとは何か、という点に関しては、古今東西のミステリーに精通した方はさまざまな「私説」をお持ちのことだろうと思うが、ごく普通にミステリーも読む、私としては、「謎」とその「謎解き」を社会性、メッセージ性などに優先し、物語の主眼に置いたミステリーだと私は、理解している。
さらに、「新・本格」とは、1987年に京都大学在学中(京都大学ミステリ研究会在籍中、というべきだろうか)の綾辻行人が書いたデビュー作『十角館の殺人』以来、一大潮流を形成したジャンルである(ま、間違ってはいませんよね。マニアの方、もし読まれていたら、これくらいでカンベンしてください・・・)。
さて、本作。前述したが、著者は、ここ十年、短編やミステリ評論を中心に活躍し、長編作は、しばしご無沙汰。本格ファンはもちろんのこと、ミステリファンにとっては、待望の作品である(ちなみに、同作刊行と時をほぼ同じくして、綾辻行人の「館」シリーズも、久しぶりの新作『暗黒館の殺人』が出た。一時の勢いを失ったかのようにも思える「新・本格」が再び動き始めたと喜んでいらっしゃる方も多いだろう)。
ストーリーは・・・
■「人体直取り」の石膏像の切断事件と殺人事件。その関係は?
人体から直接型を取る石膏像を作り続けてきた彫刻家・川島伊作が死亡する。最愛の妻をモデルにした石膏像で旋風を巻き起こした彼だが、彼女の死後、自身の芸術が先人の模範にすぎないのではないかという迷いの隘路に陥っていた。そんな彼が、再起をかけ、湯病の身を奮い立たせて創作していたのが、妻の面影をそのまま宿す娘・伊知加の像だった。
ところが、彼の死後、アトリエに置かれていたその像の石膏像の首は、切り落とされたのだ。伊作の死の直前に、写真家の友人を介して伊知加と知り合ったミステリー作家・法月綸太郎も現場に居合わせていた。悪質ないたずらか、それとも・・・
生前の伊作と一時断絶状態にあった弟、追悼展を企画するアートプロデューサー、伊作と特別な関係にあったらしい秘書、伊知加にストーカーめいた執心を見せていた男・・・伊作を取り巻く複雑な人間関係を綸太郎が把握しきるのを待たず、伊知加が行方不明に。そして、ついに生身の人間の殺人事件が起こってしまう。
やはり、石膏像切断は殺人予告だったのか?