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ソニーの新AVアンプで新技術「A.P.M.」を試す!(2ページ目)

2009年10月に発売された、ソニーのAVアンプ「TA-DA5500ES」は、自動位相マッチング機能「A.P.M.」の搭載で注目を集めています。ホームシアターにおける「A.P.M.」の威力とは? 今回は、筆者鴻池が、試聴環境の整った「ソニースタイル大阪」で実際に体験し、レポートします! 開発者である金井隆さんにもお話を聴きました。

鴻池 賢三

執筆者:鴻池 賢三

オーディオ・ビジュアルガイド

「A.P.M.」の発想

7.1chの場合、「A.P.M.」の機能は、フロント左右のスピーカーを基準に、それ以外のスピカー(フロント中央、サラウンド左右、サラウンドバック左右)の位相差を精密に測定、補正することにより、フロント左右の特性に揃えるというものです。特にフロント左右のスピーカにはなにも処理をしなのが、「A.P.M.」ならではのポイントと言えます。

一般的なユーザーの場合、メインとなるフロント左右のスピーカーはこだわりも持って選んでいるケースが多いはずです。フロント左右スピーカーの特性をいじらないというのは、ユーザーの実情を理解し、こだわりを尊重しているように感じます。

「A.P.M.」は、位相ズレの原因となるスピーカーの違い、設置位置により反射音量の違いなど、複雑に入り組んだ問題を、測定により、一括して自動補正してくれる点で、画期的な機能と言えます。

TA-DA5500ESには、測定用マイクが付属。マイクは、耳の間隔2点

TA-DA5500ESには、測定用マイクが付属。マイクは、耳の間隔2点

また「A.P.M.」を利用するのは極めて簡単で、ソニー従来の自動音場補正機能「D.C.A.C.」を実行するだけ。具体的には、測定用のマイクを試聴位置に置き、測定機能をONにして、測定に要する時間(約30秒)を待つだけです。

 

「A.P.M.」の威力

「幻想」&「巨人」 小澤征爾・サイトウ・キネン・オーケストラ

「幻想」&「巨人」 小澤征爾・サイトウ・キネン・オーケストラ

今回は「A.P.M.」を搭載するAVアンプ「TA-DA5500ES」に加え、BDプレーヤーやスピーカーなどの機材、試聴ルームの音響特性など、全てに渡って条件の良い、「ソニースタイル 大阪」で体験する機会を得ました。

試聴に用いたのは、音質や立体感などの点で録音状態が良く、演奏も素晴らしいと評価の高い、BD版<「幻想」&「巨人」 小澤征爾・サイトウ・キネン・オーケストラ>より、「断頭台への行進」。

まず、「A.P.M.」がOFFの状態で試聴。「TA-DA5500ES」の基本性能は高く、充分良い音に感じました。次に「A.P.M.」をONに。すると、視聴ルームの空気がガラッと入れ替わったように、部屋が音で充満し、コンサートホールの空気感が伝わってきます。 

「A.P.M.」がOFFの時、観客のざわめきや咳払いは、リアスピーカーから鳴っている感があり、各スピーカーからチリチリバラバラに聞こえていたものが、「A.P.M.」ONになると、スウッと試聴ルーム内の空気に溶け込んで来るのです!

演奏が始まると、同様の空気感はもちろん、前後方向の広がりに明確な違いが感じられました。「A.P.M.」がOFFの時、フロントスピーカーにまとわりついていた音が、「A.P.M.」をONにするとスピーカーよりもさらに前方へ伸びて、目の前にステージが広がる感覚が得られます。

この上質な立体感と言いますか「空気感」は、よく調整されたホームシアターでも、なかなか出会うことがありません。今回の試聴を通じ、位相特性の大切さ、「A.P.M.」の絶大な威力を実感すると共に、今後、ホームシアターのようなマルチチャンネル環境では、「A.P.M.」のような技術が不可欠であると思いました。


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