2007年公開の名作映画ベスト10(2ページ目)

第７位：『ブラックブック』
ナチス・ドイツ占領下、運命に翻弄される美しい女がいた……。

史実に着想を得たスリラーとは監督の言葉『ブラックブック』

本作は、20年以上アメリカで活躍した『氷の微笑』や『スターシップ・トゥルーパーズ』を撮ったポール・ヴァーホーベン監督が祖国オランダの映画史上最高の製作費をかけ、第二次大戦のナチス・ドイツ占領下を舞台に、レジスタンスの明暗の中、生きぬいた『マタ・ハリ』（女スパイの物語という意味で）映画です。ダークな物語にも、エロティックなシーンを随所に散りばめた、サービス精神旺盛なポール・ヴァーホーヴェンらしさにファンの一人としては嬉しい限り。

特筆したいのは、ヒロインのラヘルを演じるカリス・ファン・ハウテンの見事な演技力と体当たりな役づくりです。物語が進むにつれて美しさと凄みを増す彼女には、昨年公開作の最優秀主演女優賞を進呈したいほどです。

【作品情報】
・2006年／オランダ＝ドイツ＝イギリス＝ベルギー映画
・上映時間：144min
・監督：ポール・ヴァーホーヴェン
・出演：カリス・ファン・ハウテン、セバスチャン・コッホ、トム・ホフマン、ミヒル・ホイスマン、ハリナ・ライン、ピーター・ブロック、ドルフ・デ・フリース、ワルデマー・コブス

第６位：『ブラッド・ダイヤモンド』
ダイヤモンドは永遠の輝きですが……

中には血に塗られたダイヤもあることを知る『ブラッド・ダイヤモンド』

監督は、『グローリー』、『戦火の勇気』、『マーシャル・ロー』、『ラスト・サムライ』など、深刻な題材をエンターテインメントに昇華させる業師エドワード・ズウィックです。1999年、内戦が続くアフリカのシエラレオネ共和国を舞台に、ダイヤモンドを巡る戦い・陰謀が渦巻きまく中、新たな人生を切り開くための苦闘を描いています。

ヒゲをたくわえ一回り体が大きくなったように見える『ディパーテッド』でも名演をみせたレオナルド・ディカプリオが傭兵あがりのダイヤの密売人ダニーを好演！ダニーに絡むのは、家族と引き裂かれダイヤモンドの採掘場で強制労働を強いられるソロモン（ジャイモン・バンディー）と、アメリカのジャーナリストのマディー（ジェニファー・コネリー）。三つ巴の熱演が光ります。

【作品情報】
・2006年／アメリカ映画
・上映時間：143min
・監督：エドワード・ズウィック

第５位：『インランド・エンパイア』
観る者の自由解釈？というトラップにはまる奇作

ヴェネチア映画祭で栄誉金獅子賞を受賞した『インランド・エンパイア』

やはり意味不明な映画でした。映像は時にビデオ撮影の粗い画面になったり、耳障りなノイズが流れたり……。はじめからピースの合わないジグソーパズルを無理やり作り上げたら異様な全体像が現れたような作品です。名作映画の要は、カメラだ！脚本だ！と意見の分かれることもありますが本作の前では不毛なロジックですね。

『インランド・エンパイア』を観て「ゾワッ」と感じた方は、デイヴィッド・リンチの仕掛けた罠にはまったのです。そしてもう一度観たくなってしまうのです。

【作品情報】
・2006年／アメリカ＝ポーランド＝フランス映画
・上映時間：180min
・監督：デイヴィッド・リンチ
・出演：ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタントン、裕木奈江

第４位：『ドリームガールズ』
懐かしのモータウン・サウンドでノリノリ！

ゴールデンブローブ賞で作品賞、助演男・女優賞受賞作『ドリームガールズ』

ザ・シュープリームス、ダイアナ・ロスをモデルとした本作はいわゆる「バックステージ」ものです。当時のアフリカ系アメリカ人の置かれていた状況も触れつつ、存分に歌で魅せてくれたことが嬉しいです。

物語のキーマンで、タレントマネージャーという地味ながら難しい役を『Rey／レイ』でアカデミー主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスが演じ、笑いを取らないマジメなエディ・マーフィーをはじめて見、美しいビヨンセ、そして抜群の歌唱力・演技をみせてくれたジェニファー・ハドソン！と出演者が揃って好演！　2007年は『ヘアスプレー』なる傑作ミュージカルもありましたが、私は音楽・キャスト共に好き好き大好きで舞い上がってしまった本作に一票です。

【作品情報】
・2006年／アメリカ映画
・上映時間：130min
・監督：ビル・コンドン


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