2007年公開の名作映画ベスト10

2007年に日本で一般公開された作品から、ガイドの独断と趣味で選んだベスト10です。一昨年（2006年）は下半期に「硫黄島２部作」や邦画の『ゆれる』、『フラガール』といった秀作の公開があり下半期優勢でしたが、昨年（2007年)は上半期に愛しい映画が集中。10内すべての作品が、DVDリリースされます。未見作品がありましたら、是非ご覧ください。

第10位：『世界最速のインディアン』
夢に挑戦し続ける男のロードムービー！

少年のような心を持った爺さんの実話『世界最速のインディアン』

ニュージーランドの南端の町に住むバート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)63歳。21歳のときに出会った「インディアン」という名のバイクに惚れこみ、40年以上もかけて改造し続けました。速度計さえついていないその中古マシンがいったい何キロ出せるのか？　愛するマシンの実力をどうしても知りたい彼は、アメリカ、ユタ州の「スピード・ウィーク」を目指し、遥かなる旅に出るのです。

出会った人すべてに夢を与え、幸せにしてしまう爺さんのロードムービーです。こんな爺さんになりたいっ！

【作品情報】
・2005年／ニュージーランド映画
・上映時間：117min
・監督：ロジャー・ドナルドソン
・出演：アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード、アーロン・マーフィー、クリス・ウィリアムズ、ダイアン・ラッド、パトリック・フリューガー、ポール・ロドリゲス

第９位：『キサラギ』
現代のネット社会から生まれた「顔を知らない者たち」の密室劇

最も可笑しかった『キサラギ』は、2007年邦画の一等賞!?

2006年に比べて昨年公開の邦画総体にちょっと元気がなかったように感じられましが、それでも、江戸の市井を描いた（山本一力の時代小説を映画化）『あかね空』、現代女性のどこか満たされたい心情を見つめた『Ｍ』、痴漢冤罪事件を法廷ドラマとして創り込んだ『それでもボクはやってない』と３本の心に残る作品がありました。そしてもう１本が、笑いころげた本作『キサラギ』です。

亡くなった超Ｂ級アイドル「如月のミキ」一周忌に、彼女のファンサイトで知り合った男たちが織り成す密室会話劇です。ネットの文章上では知っていても顔も本名も知らず、ハンドルで呼び合う面白さ。サイトの管理人は家元、そしてオダ・ユージ、スネーク、安男、いちご娘の５人が弔いにあるビルの一室に集まります。亡くなった如月ミキの死因とファン５人の関係が次々に明らかになってゆく衝撃的な可笑しさ。現代ネット社会の虚実入り混じった不思議な人間関係に大笑いの一篇です。

【作品情報】
・2007年／日本映画
・上映時間：108min
・監督：佐藤祐市
・出演：小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之、 宍戸錠

第８位：『ツォツィ』
世界一危険なスラムを舞台にした、少年の贖罪の物語

『ツォツィ』とは不良、チンピラを現す言葉

アフリカを舞台にした映画がブームだと言われています。2006年には『ホテル・ルワンダ』、『ナイロビの蜂』、ドキュメンタリーの『ダーウィンの悪夢 』が公開、そして2007年は『ブラッド・ダイヤモンド』、『ルワンダの涙』の衝撃作がありました。そして本作は、アカデミー賞外国語映画賞をはじめてアフリカ映画にもたらしました。

不良少年が、盗んだ車の中に子供を発見してから人間性を取り戻すお話と言うと単純かもわかりませんが、アパルトヘイト終焉から10年たっても、実情は変わってはいない世界一貧富の差の激しい南アフリカを舞台に、生きるために悪に手を染めてしまった少年の贖罪の物語です。本作のヒューマニズムを感じ取ると同時に「超格差社会」の現実も考えさせられます。

【作品情報】
・2005年／南アフリカ＝イギリス映画
・上映時間：95min
・監督：ギャヴィン・フッド
・出演：プレスリー・チュエニヤハエ、テリー・フェト、ケネス・ンコースィ


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