拝啓、藤井樹様。お元気ですか?
『Love Letter』
日本映画監督協会新人賞を受賞後、岩井俊二監督が初めて撮った劇場長編映画『Love Letter』 |
甘酸っぱくて、切なくて……。それが青春、これが本物のラヴストーリー!最後の「図書カード」の逸話には何度観てもヤラれてしいまいます。近年日本映画の最も感動的な恋愛映画の秀作。
・1995年/日本映画
・上映時間:117min
・監督:岩井俊二
・出演:中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、范文雀、中村久美、加賀まりこ、柏原崇
“定、吉 二人きり” 愛欲の極限
『愛のコリーダ』
ポルノではない、究極の愛の物語『愛のコリーダ』 |
1936年5月18日、東京・尾久の花街にある旅館「まてき」で、男性の陰部が根元から切断されている死体が発見されます。死体の左腕に「定」、左股に「定吉二人」と血で書かれていました。捜査の結果、被害者は料亭の主人で、犯人は元芸者の阿部定(31才)と判明。阿部定は二日後の20日に品川駅前の旅館で逮捕されました。
阿部定事件が起るまでを描く本作は、性交・性器露出の場面が多く、当時の日本では大幅な修正が加えられ「ワイセツ裁判」にまで発展しました。
本作はポルノグラフィーとしての話題が先行してしまいましたが、強烈な情念のアート映画として映画史に刻まれ、オーシマ(大島渚)の名を世界に轟かせた傑作です。ノーカット版と謳われ7年前にリバイバルされた『愛のコリーダ2000』ですが、現在の日本ではまだボカシが入っています。
余談ですが、本作にインスパイアされた、クインシー・ジョーンズの名曲「The Dude(愛のコリーダ)」は世界的に大ヒットしました。
・1976年/日本=フランス映画
・上映時間:104min
・監督:大島渚
・出演:藤竜也、松田暎子、中島葵、芹明香、阿部マリ子
逢えない時間が愛を育てた蛍子の愛
『約束』
仮出所中の女囚 蛍子(岸恵子)と、逃走中の強盗犯 朗(萩原健一)は列車の中で偶然知り合い、明日のない二人は急速に心惹かれあいますが、蛍子は刑務所に戻る身。朗との再会を誓う蛍子は、刑期を終えた2年後に「約束」の公園で朗を待ちます。朗がすでに逮捕されていることを蛍子は知りません……。
・1972年/日本映画
・上映時間:88min
・監督:斎藤耕一
・出演:萩原健一、岸恵子、三國連太郎
自堕落な男を愛してしまった、ゆき子の半生
『浮雲』
黒澤明、小津安二郎らと並び称される巨匠・成瀬巳喜男監督の傑作恋愛奇譚『浮雲』 |
結ばれた二人が「くされ縁」という呪縛から、あり地獄にはまり堕ちてゆきます。悪い男と知りながらも地の果てまでも男を追ってゆく執念は、理屈を超えた全身全霊の愛なのかもしれません。日本恋愛映画史上の大傑作で、今回の10内No.1と言ってもよいでしょう。
・1955年/日本映画
・上映時間:124min
・監督:成瀬巳喜男
・出演:高峰秀子、森雅之、中北千枝子、岡田茉莉子
次ページは、これぞ往年の邦画と思う3作品です。