クラシック音楽が効いている映画ベスト10
世紀の天才の生涯を描いた『アマデウス』 |
映像とクラシック音楽の「複合芸術となった映画」をご堪能いただけたらと思います。
第10位:『危険な情事』--プッチーニ:オペラ『蝶々夫人』
■本作では、後にストーカーとなる女が男をオペラに誘います。演目は捨てられた女の悲劇を描く『蝶々夫人』です。男はこの誘いを断るのですが……。
第9位:『ゴッドファーザー PART III』--マスカーニ:オペラ『カヴァレリア・ツスティカーナ』
■映画終盤、オペラと殺人が交互に展開されます。その演目「カヴァレリア・ツスティカーナ」はシチリアを舞台に、男が名誉と愛する女のために戦う物語です。オペラと映画の物語がシンクロした素晴らしいラストシーンです。
第8位:『逢びき』--ラフマニノフ:『ピアノ協奏曲第2番』
■別れの場面からはじまり主人公ローラの回想へと繋がる名作『逢びき』のBGMにラフマニノフのピアノ協奏曲第二番が適時に流れ、ウエルメードな悲恋ドラマを更にメランコリックへと誘います。
第7位:『ロミオ&ジュリエット』--ワーグナー:楽曲『トリスタンとリゾルデ』
■レオナルド・ディカプリオがアロハシャツ姿でロミオを演じる、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の現代版の中、死によってしか結ばれることの出来ない「トリスタンとリゾルデ」の物語はそのまま「ロミオとジュリエット」に置き換えるられる悲恋物オペラでもあるのです。
第6位:『時計じかけのオレンジ』--ベートーヴェン/交響曲第九番『合唱』
■『雨に唄えば』のテーマ曲に乗って殺人を行う主人公アレックス。彼の拠りどころが革新的ヒューマニスト、ベートーヴェンだというホラー! これはどんなジョークなのでしょう。ポップカルチャーに傾倒しながらクラシックに聴き入るこの感性が未来の青年像なのでしょうか? 戦慄を覚えます。
名曲「美しき青きドナウ」も効いている『2001年宇宙の旅』 |
■映画に登場する中年男は作曲家という設定です。原作では小説家ですが、それをそのまま「マーラー」に置き換えてしまうヴィスコンティ監督の人物設定の妙に唸るばかりです。航海中の客船で憔悴しきった中年男の横顔にマーラーの「アダージェット」が重なる名シーン。この映画のために作曲されたのかと思うほど「アダージェット」=『ベニスに死す』となりました。
第4位:『ファンタジア』--ポール・デュカス/交響詩『魔法使いの弟子』
■本作は音楽教養アニメーションと言ってもいいのかもしれません。ディズニーの大人と子供が一緒にクラシックに触れられるようにとの試みだったのでしょう。中でも『魔法使いの弟子』は主題曲と言えます。続編『ファンタジア2000』にも収録されています。
第3位:『地獄の黙示録』--ワグナー/楽劇『ワルキューレ』から『ワルキューレの騎行』
■戦闘ヘリコプターの中、景気づけにキルゴア中佐(ロバート・デュバル)が音楽をかけます。それがワーグナーの『ワルキューレの騎行』です。この場面にどうしてこの曲が効果をあげてしまうのでしょうか? まさに狂気の沙汰ですが、『地獄の黙示録』=「ヘリ」=「ワルキューレの騎行」は公式のように覚えてしまいました。
第2位:『2001年宇宙の旅』--リヒャルトン・シュトラウス/交響詩『ツァタトゥスタラはかく語りき』
■モノリス(黒いキューブ型固体)に触った猿は進化を開始、そして武器を持つことを覚え戦う道具(骨)が一気に400万年後の宇宙船へと繋がる、この映画史に残る名シーンのバックに流れる曲が『ツァタトゥスタラはかく語りき』です。ダン、ダァーン、ダン、ダダァーン! 映像と音楽の融合を見る感動の一瞬です。
第1位:『アマデウス』--モーツァルト/『交響曲第25番』
■音楽伝記映画の最高傑作と言っていい本作のタイトルバック、ある日自殺を図ったサリエリが病院へ搬送される緊迫したオープニングに流れる『交響曲第25番ト短調第1楽章』から全編モーツァルトの名曲で埋め尽くされた全ての音楽ファン、映画ファン必見の一篇です。どんな努力をしても同じ土俵にも立てないほどの天才がすぐ近くにいたら、サリエリでなくとも絶望することでしょう。
映画は総合芸術だと言われます。音楽だけでなく、絵画、建築、アールヌーボー・デコ・ポップ、演劇、様々なパーツが美しく絡みあって名作映画となります。アートの宝庫でもある映画をもっともっと楽しんでくださいね。
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