色物とは?
色物とは?
昔は、講談専門の寄席も数多くあったようで、一時期は落語寄席の件数を凌いでいました。今じゃちょっと考えられませんが、講談は落語と人気を二分するほどの日本の代表的な人気芸能だったようです。
落語7の色物3
現在、講談専門の寄席はないので、寄席は落語を中心にプログラムが組まれいます。構成からいえば落語が7だとすると色物は3という割合です。落語数本(3~4)の合間に色物が1本入ります。なぜ? 色物と呼ばれるのか
出演する芸人名が木札に書かれ、寄席の表、入り口付近や場内に掲げられているのが番組表 |
つまり、黒字でなく色文字で書かれている出演者なので、色物と呼ばれるようになったようです。これは、もともと寄席業界の符丁(業界用語)です。現在では一般化され、お笑い芸人達を総称して「いろもの」と呼んでいますね。
でも厳密に言えば、落語家や講談師は本来、いろもの(色物)ではないのです。林家正蔵(こぶ平)や林家いっ平だって、テレビタレントでもあるけど、色物じゃありません。
寄席での色物の3つの役割
今、一番オススメな若手漫才コンビがこのロケット団。毎回、会場を爆笑の渦に包んでます。番組表にロケット団を見たら迷わず寄席に飛び込むべし! |
一.色物さんたちは落語が数本続いて、ちょっとお客さんの集中が切れたところで、場を賑やかすために、派手な手品や曲芸を見せます(なんせ落語は見た目が地味ですからね)。
二.また、休憩直後の会場がざわざわしているところで、すぐに爆笑が取れる、漫才やあっと驚く手品を出して、お客さんを舞台に集中させます。
三.一番重要なのが、その日のメインのトリの前の出番です。その日のメインの前の出番ですので、適度に舞台に集中させる芸を披露しつつ、トリに対してお客さんが盛り上がるような雰囲気を作らなければなりません。
ここで、自分の十八番の芸をこれ見よがしに披露したり、長い時間、大爆笑をとり続けたりしたりしたら、トリを見る前にお客さんが疲れちゃいます。ある程度盛り上げて、トリにつなぐ。このさじ加減がかなり難しい。
この3つの役割をこなせるようになると、一流の色物さん。どこの寄席やイベントに行っても、そつなくこなせます。ただ、自分の芸だけを目一杯疲労するだけが芸ではありません。全体の流れを読めてこそ、一流芸人なのです。
寄席ならではの芸を楽しむ
世界中で通用するほど凄い芸がこの太神楽。こんなすんごい芸を気軽に生で見られるのが寄席。写真の演者は鏡味正二郎 |
現在の定席(常設の興行小屋)は落語寄席ですので、落語中心のプログラムが組まれているいますが、落語を楽しむだけでなく、寄席でしか見ることのできない寄席ならではの色物さん達の生の芸を見るのも寄席の楽しみ方の一つです。
寄席に出演する生の漫才の面白さに腹を抱え、手品や曲芸の凄さに感嘆の声を上げ、紙切りという特殊な芸を超えた芸術作品を堪能してみてください。日本の大衆芸能の奥深さをさらに感じることでしょう。
【関連記事】