落語は四季で楽しむ

江戸が息づく古典落語50席
江戸が息づく古典落語50席 (PHP文庫) 春夏秋冬と季節ごとに落語の演目を分かりやすく紹介
日本の伝統芸能である古典落語は、日本の四季を噺の中に織り込んでいる演目が数多くあります。噺の中に季節感を織り込むことによって、観客に情景を創造しやすくする効果があるからだと思います。

「深々と雪の降る大晦日の晩」(福禄寿)とか「夏の暑い盛り、浅草観音様の四万六千日の縁日」(船徳)などと季節を明確にさせるフレーズがあることによりその情景がリアルに浮かび上がってきませんか?

また、噺家達は寄席や落語会で夏の噺(怪談物である牡丹灯篭や真景累ヶ淵)をこの季節(冬)にほとんど演じることはありません。つまり、季節外れの演目はあまり演じないということです。これは落語が日本の四季をとても大切にしている芸能だからです。

今回はその四季の中で、「冬」を代表する落語を紹介いたします。落語の噺の中でも情緒豊かな「日本の冬」を楽しんでみてください。

冬になるとか必ず聞かせられる「時そば」

落語「時そば」に挑戦!
NHK趣味悠々「落語をもっとたのしもう」下巻・落語「時そば」に挑戦!
冬の噺というより、落語の演目で最も有名な噺です。短く分かりやすく、所作(落語の動作)も楽しめ、サゲ(オチ)も秀逸ゆえ、一年中高座にかけられます。特に場面が「冬の深夜」なので、この季節になると寄席に行けば必ず聞くことができます。というより聞かされます。

屋台の蕎麦屋で巧みな話術で支払いをチョロまかす(少なく)済ませた人をを見ていた男が自分も真似をしようとして失敗してしまうという噺。この演目の醍醐味はそばを食べる所作ではなく、お金をチョロまかすところなのですが……。なぜか? 教育者にとても人気があり、学校寄席でよく演じられます。

落語ファンにとっての紅白歌合戦!「芝浜」

芝浜
芝浜/御神酒徳利:桂三木助(三代目) 芝浜はまずは桂三木助で聞いてほしい
冬の噺というより、年末の噺。年末になると多くの噺家が演じると同時に、落語ファンの多くが「この噺を聴かないと年が越せねぇぜ」と唸ります。

近代落語の祖である三遊亭円朝が作った三大噺の傑作であり人情噺の最高峰。古典落語を代表する大ネタになったのは三代目・桂三木助の功績が大きいといわれてます。落語界では「芝浜」=「三代目・桂三木助」が今でも定説。

ストーリー展開、登場人物のキャラ立ち、そしてサゲの見事さは他の人情噺の追随を許しません。いつ何時聴いてもホロッと涙し、笑顔になるいい噺です。


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