古今亭志ん朝の落語CDにハズレなし

古今亭志ん朝に興味を持ったら、写真と共に志ん朝落語が読める「志ん朝の高座」がオススメ
最近、落語ブームのおかげで落語のCDでどの噺家のどの落語がお勧めとよく聞かれます。

私は迷うことなく古今亭志ん朝をお勧めします。噺の内容は志ん朝なら、なんでもOKです。この人は落語を初めて聴く人だろうが、落語歴うん十年の落語通だろうが、本当に誰が聞いても満足する落語をCDに残してくれました。

私は現在販売されている、古今亭志ん朝の落語CDは全て聴きました。その全てが本当に素晴らしい。どれを聴いても、退屈だとか分かりづらいとかいった不満がほとんど出てきません。

ほぼ初めて落語を聴くのであれば、『雛鍔(ひなつば)』をお勧めします(古今亭志ん朝2/落語名人会CDに収録)。簡単で短い噺ですので、それほど落語の知識がなくてもスッと聴けます。

落語の基本が凝縮された噺『雛鍔(ひなつば)』のあらすじ

まず登場するのは植木職人の熊さん。落語の世界では、職人はたいてい熊公となります。その熊さんが出入りのお屋敷の庭の手入れをしていると、お屋敷の若様がお庭遊びに登場。若様が穴開き銭を拾うがお金なんか見たこともないので、お供の者にそれをお金だと知らずに「お雛様の刀の鍔」と表現する。

銭をそんな風に豊かに表現するなんて!と熊さんはいたく感心する。長屋に帰って自分の女房にそのことを報告し、それに比べて同じ八歳の息子の金坊は何かというと小遣いをせがむと愚痴をこぼすが、女房は「身分が違う」ので当たり前だと取り合ってくれない。

親父の憧れなんかどこ吹く風で、金坊は母親から小遣いをせしめて遊びに出かけようとする。入れ替わりに熊さんが出入りしているお店のご隠居がやって来る。実は熊さんは数日前、お店の番頭と庭の手入れの仕方について一悶着起こしていた。それゆえ、ご隠居が仲裁のためわざわざ熊さんちに出向いてきたのだ。

(この熊さんと番頭を仲裁するために来たご隠居の話し方が、最高にシビレる。相手の立場をよく理解しながらも自分の意見も言う、これこそ大人の対応!という話し方をします。自己主張優先がカッコよく、少しでも自分の立場を有利にすることが正しいと勘違いしている現代の日本人と大違いです)

ご隠居自ら仲裁されたら熊さんも納得せざる得ません。話の流れで、熊さんはご隠居にもお屋敷の若様のことを報告すると、ご隠居も若様の表現にいたく感心する。

今の二人の会話を陰でこっそり盗み聞きしていた金坊が長屋に戻ってくる。そ知らぬ顔でご隠居の前でさっき聞いた若様の行動をそのまま演じてみせる。当然、真似だとは知らないご隠居は感心し「欲しい物を買いな」とお小遣いを金坊に渡す。

熊さんが金坊の手にしている小遣いを「銭は不浄なものだから」と捨てさせようとするが、金坊が思わず素に戻り「いやだ! これで焼き芋を買うんだい。」とサゲて終わる。

次のページで『雛鍔(ひなつば)』の聴きどころと感想を紹介します。