落語/落語関連情報

「新作落語」ってなに?

新作落語とは古典落語の対になるもので、その名のとおり戦後「新しく作られた」落語の演目のことです。今回は古典落語とは違った魅力を持った新作落語についてたっぷり紹介いたします。

執筆者:清水 篤司

現代を巧みに切り取った新作落語を作り続ける柳家喬太郎、ガイドの私が一押しの新作落語家です

前回に続き今回は古典落語の対になる新作落語について紹介します。

※上方(関西)では創作落語と呼んでいる場合がありますが、ここでは新作落語と統一させてもらいます

新作落語と分類する上で大きな特性が4点あります。

1.戦後に作られたものである
2.多くの演目が社会の時事性を風刺したものである
3.新作落語の多くがそれを作った噺家本人しか演じない
4.作者が明確である

戦後に作られたものである

第二次世界大戦後、日本は政治、経済だけでなく文化にとっても大きな転換期だったはずです。ゆえに戦後の大衆演芸の復興の中、新しい落語の演目を自ら作成し、演じる噺家が現れる中で、以前の落語と区別するために新作落語という分類がなされたように思われます。

多くの演目が社会を風刺したものである

画像の代替テキスト
新作落語はテレビや新聞等に取り上げられている旬の話題を題材にしています
これが古典落語との一番の違いかもしれません。新作落語には社会を風刺したものが多くあります。最近ですと年金問題、振り込め詐欺、韓流ブームなど、昔になるとマイカーや電話を題材にしたものがあります(漫才やコントのネタと似たようなものと考えてもらえば分かりやすいと思います)。

新作落語は時事的な話題を題材に刺激的に演じるので、客受けが良いのものが多いのですが、時事性が強いため、その時代が過ぎると忘れ去られた話題になってしまうので、古典落語のように時代を超えた落語の演目として残りづらいという面があります。
その反面、時代背景が古く、人間のドラマを主軸とした普遍的内容の古典落語のような新作落語もありますが。

作者が明確である

古典落語の演目の中にあるような昔から伝え告がれてきた話が落語になったものはなく、新作落語は最初から落語の演目として噺家自身が作ったり、落語作家が作るので作者が明確です。

それゆえ、特定の噺家のネタだったり、作家に既存するために古典落語のように落語界共有の財産となりにくい点があります(版権等の問題もあるでしょうし)。

新作落語の多くがそれを作った噺家本人しか演じない

新作落語の多くが演者自ら作成するものが大多数です。それゆえ、聴く客はその噺家本人の落語の技量と同時に作品のセンスを味合うことができます。

しかし、その噺家独特の筋(ストーリー)や構成が色濃く出るので、作った本人が演じないと、その作品の魅力が十分に発揮できないようなので、ほとんどがその噺を作った本人しか演じません。音楽に例えるなら、ビートルズの楽曲を他のアーティストがどんなに巧くカバーしたとしても、ビートルズ自身が演奏したものに比べれば落ちてしまうことに似ています。

その一方、最近では新作落語の雄である桂三枝(上方の場合は創作落語と呼ぶ)や三遊亭円丈が作った新作落語を若手が中心とした噺家達によって高座で演じられるようになってきました。

こうした状況を見れば、古典落語だって作ったときは新作だったので、新作落語も内容が素晴らしく、多くの噺家達がその噺に磨きをかけ、演じるようになっていけば、古典落語ように残っていくかもしれませんね。

次ページでは新作落語の魅力とオススメの新作落語家について紹介します。
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