当代随一の爆笑落語家

江戸が息づく古典落語50席 (PHP文庫):年間、数百回以上の高座を務める権太楼が、厳選された古典落語の名作50席を分かりやすく噺の聴き所を教えてくれる一冊
落語は客との一対一の生ライヴゆえ、時と場所(会場の雰囲気)、もしくは噺家の体調や出来によって、イマイチな高座にめぐり合ってしまう場合があります。しかし個人的に柳家権太楼の高座に関してはそのような記憶がほとんどありません。何時、何所でも客を満足させる(なおかつ爆笑させてくれる)高座を披露してくれます。

魅せる噺家

柳家権太楼の特徴といえば座布団の上でオーバーアクションともいえるほど体を使って演じることだと思います。その表現方法は動きは最小限に留め話で聴かせる江戸(東京)落語より、動きも重要なファクターであると考える魅せる上方落語に近い感があります。

また柳家権太楼の高座を上方の爆笑王・(故)桂枝雀をダブらせる落語ファンも多いと思います。なぜなら桂枝雀の持論である「笑いとは緊張と緩和」を見事に高座で実践する噺家であるからではないでしょうか? 分かりやすく、話と動きで気持ちよく笑わせてくれる。権太楼落語に対してこのように評する人が多いと思います。

計算しつくされた権太楼落語

落語を分かりやすく、そして単純に笑わせてくれる落語をいつも披露してくれるのですが、その落語には深~い落語論が根底にあるのをご存知でしたか? 多くのネタを持つ権太楼ですが、その演目一つ一つにこだわりがあり、緻密な計算の上で成り立っているのでは? と最近考えるようになりました。

次ページではそのこだわりのネタの一つを紹介します。