権太楼流「佃祭」

柳家権太楼 名演集3 佃祭/お神酒徳利:
佃祭の中の「悔やみの場面」は何度聴いても笑いと共にグサリと胸を突きます。
例えば「佃祭」とい演目の中で主人公の次郎兵衛が乗った船が沈んでしまった(その沈んだ船には次郎兵衛は運良く乗らなかった)との情報が入り、近所のもの達が次郎兵衛宅へ悔やみに行くことになる。

近所の人達は上手く悔やみを言おうとするあまり、ボロが出てしまい、逆に家族を怒らせてしまう始末。最後に普段からみんなに馬鹿にされている与太郎が登場し悔やみを言おうとするので「あいつは何を言うか分からないから止めさせろ」とみな止めようとするが......

「みんなはオレのこと馬鹿にするけど次郎兵衛さんだけは違った」と言う。そして「与太郎さんはそのままでいいだよ、それが与太郎さんなんだから」といつもやさしく接してくれたと、次郎兵衛の死を心底悔やむ。この場面は何度聴いても泣けてきます

この「悔やみの場面」は近所の者達が上手に言おうとするがボロが出て家族を怒らせ、最後に挨拶する与太郎がさらにトンチンカンな悔やみをし、家族を呆れさせるという笑いの場面のみとして演じられることが多いようです。

しかし、権太楼はこの「悔やみの場面」にスポットを当てて、普段馬鹿にされている与太郎を使って人の本当の心や情を笑いと共にあぶり出しています。「佃祭」の最大の山場の一つというより、この演目の本質はこの「悔やみ」の場面にあることを教えてくれます。

徹底した落語論

権太楼の大落語論 (単行本) :ツカちゃんこと落語通の塚越孝アナウンサーとの対談形式で権太楼流落語論をたっぷり披露してくれています。
爆笑落語家として確固たる地位を築く柳家権太楼ですが、その落語の全てが徹底した落語論を根底とした緻密な計算に上に成り立っていることを彼の高座を聴けば聴くほど痛感させられます。

それは、じっくりCDで彼の落語を聞いたり、著書を読んだりすることによって、会場を爆笑の渦に包むクスグリやネタの一つ一つに権太楼のこだわりがたくさん詰まっていることに気付きます。ゆえに、何度聴いても権太楼落語は面白く、飽きがきません。

笑いでだけなく、深いメッセージが込められた権太楼落語を是非、生の高座でたっぷり味わってください。

【関連リンク】
柳家権太楼公式ホームページ

【編集部おすすめの購入サイト】

楽天市場で落語のCD・DVDを見る

Amazonで落語のDVDを見る

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。