『おくりびと』本木雅弘インタビュー/3ページ
衝撃を受けたインド旅行、樹木葬に興味アリ
そして、出産の立会いは、20代後半で感じたことを呼び起こした。 「27歳の時に友人とインドを旅したんです。藤原新也さん の「メメントモリ(ラテン語/死を想え)」(情報センター出版局刊)の影響もあり、生死の共存する様は、そこでは、ごく日常の風景だったことに衝撃を受けました」。それ以後、青木新門さんの「納棺夫日記」(桂書房)や熊田紺也さんの「死体とご遺体 夫婦湯灌師と4000体の出会い」(平凡社)など、さまざまな書物に目を通したそうだ。 劇中に“人生の最期を決めるのは自分ではない”、という意味のセリフがある。つまり、棺や葬儀を選ぶのは遺族の役目だということ。納棺師の役柄を経て、自身の人生の旅立ちも考えたのか、訊いてみた。 「最近、興味を抱いたのは樹木葬(じゅもくそう)です。人生を漂流してきた人間が、正真正銘自然に帰り、今度は空と光に向って伸びてゆくという流れがいい。でも「葬式不要、戒名(かいみょう)不要」を唱えた白洲次郎に1票!って、思いもあるんですよ(笑)」と、声をあげて笑った。 |