『ミュンヘン』を観ました
1972年のオリンピックで11人のアスリートが殺された。深い悲しみを胸に、愛する家族を残し、彼は暗殺者となる―
『ミュンヘン』(2005)[MUNICH]「ミュンヘン襲撃」を検証する物語ではないので、その背景などは描かれない。善悪を描くというより、生と死、家族の絆、正義と不正義の境、復讐と暗殺、といった人間に焦点をあてている。この世のすべての事柄は連鎖している、のだと。言語は違っても命を奪い合うのではなく、話し合いという路(手段)を選べないのだろうか。アブナーも最初は自問自答して、ためらいながら任務をこなしていく。その時に彼の家族思いの行動を見せられることで、暗殺行為が正当で正義に思えてくる。銀残しした「ミュンヘン襲撃」のフラッシュバックを合間に挿入し、彼らの行動はYesなのだと観客に思わせる。「ミュンヘン襲撃」はリアルな描写―殺害シーンを隠さない―時間が進むにつれハードに。右頬から左頬に貫通する銃弾、プラスチック爆弾の威力、ありとあらゆるワナの仕掛け。それと緊迫しっぱなしでない!のが、この映画のすごいところ。暗殺者のリーダーの特技、「領収書」ネタ、歓喜のダンス、命の誕生。 ルイのパパは言う「哀しいな。心は優しいのに、こんな手で」、すべては「家族のために、だろう」と。その頃はおそらく任務終了後のことなど頭にはない。仲間の言葉を回想し、人格が崩壊していく…その苦悩っぷり。これこそ人に宿る「良心」ではないだろうか。最後に発せられる「No」が、ずしりを重く心に残った。たった一言ですべてを否定される気持ち…個人が背負うには重過ぎる代償。鑑賞後の言葉にしがたい深く、哀しい気持ちが残る。<平和>を求む心が多くに響くことを。[2006/1/13] |
『ミュンヘン』 |
第78回アカデミー賞[5部門]ノミネート[2006/1/31]
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