『三年身籠る』を観ました
どうしたら子供は産まれてくる? 幸せ身籠る。ミラクルな大人のメルヘン。
『三年身籠る』(2005)[THREE YEAR DELIVERY]第18回東京国際映画祭[日本映画・ある視点]部門で上映された本作。レジャーシートの上にお弁当をひろげて、まったりとしている冬子(中島知子)の写真が印象的だった。「どうしたら子供は産まれてくる?」と耳目したら、子供などから聞かれて困る質問と思いがちです。ところがこの「どうしたら」は別の意味なのでした。 <<29歳の冬子はちょっと天然系ぼんやり主婦。だんな様の徹(西島秀俊)との第一子に恵まれ、もうすぐ出産!のハズが産まれてこない…。愛人に振られ落ち込んでいる夫は優しくしてくれる。三年経ってもそのままで、お腹は大きくなるばかり(写真のように車イスでお散歩)。胎内でゲンキに笑う我が子と語りあうことを楽しみにしている冬子ではあったが、実はある決心をしていた。>> というわけで、タイトルのままの内容です。『姑獲鳥の夏』のようなホラー的妊娠ではありません。女性としてみていると共感できることや計算された天然系のユーモアにクスッとすること多々。普段耳にしそうな、会話のやりとり「手のひらサイズとか」「予定日は?―そのうちに」も、こうしてあらためてみせられると面白いもんだな~、と。ただ<ビックリ世界>ファンタジーな部分―女性にはリアルなんだけどなぁ―は男性はついてこられなくなるような気がしました。なぜだか天然おとぼけキャラが多数の女系家族―偶然なんだろうけど、女性だけでいるとこうなっちゃうのかしら。「妊娠18ヶ月」「妊娠27ヶ月」になっても誰もまったく心配していない。むしろ『夜鳴きがなくていいわね~』って、おいおい。すると、意外な人物がキレはじめ、過去の男めぐりをする。しかも本気で問いただすのだ。おいおい。そりゃ、駆血帯したまま逃げるわな。 「理想的な胎教」「誕生日ケーキに年齢分ローソクをたてるのは何本まで?」「胎内の子にとって産まれるのは―嬉しい事?怖いこと?」だなんて考えもしなかったです。そうなると父としても自覚がでるまで、ママのお腹でぬくぬくしていよーっていう発想に…わからなくもない。家庭内暴力に悩む親は多いと聞く、この場合子宮内暴力で命に直結しているから、なおさら怖い。あれは自分のお腹を蹴られているようだった。まっ、かなりひきこまれていたので、こうなったらどんなありえない状態でもいいので、是非産まれるまでをみせて!と願いつつ…。 冬子も緑子も超ファザコン―(この姉妹の年齢差はいくつなんだろう?)冬子が結婚した徹は中身が子供(まるっきり『ある子供』のパパと同じ)。一方、緑子が夢中になっている海(塩見)は「いい歳」と自分でいうように…いい歳だ。「同じ体になりたい」とか、『欲しいモノは欲しい』と欲望のまま、動物的な緑子の言動にウンザリしてくると―冬子が(おそろしく冷静に)バッサリしてくれる。結局、登場キャラ全員が、どこか大人になりきれていない、のだと。 そうそう登場するお料理―これは書かねば。特に冬子の実家の食卓[お弁当も]は、ものすごくおいしそうなので空腹で鑑賞なさらないように…お腹がキュルキュルしちゃうかもデス。[2005/11/11] |
『三年身籠る』 |
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