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感動の実話『シービスケット』特集(3ページ目)

2004年1月24日(土)~公開。原作はベストセラー「シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説」。ゲイリー・ロス監督による見事な映像化に心を打たれる人、続出!

執筆者:南 樹里

映画のために競走馬を育てた!?

シービスケット『シービスケット』に登場するすべての馬をトレーニングしたのは『ダンス・ウイズ・ウルブス』『パトリオット』で馬の調教に見事な手腕を発揮したラスティ・ヘンドリクソン。モンタナ出身で、これまでトビー・マクガイアとは『楽園をください』、クリス・クーパーとは『モンタナの風に抱かれて』、そしてジェフ・ブリッジスとは『天国の門』で組んでいた。そんなベテラン調教師にとっても本作はこれまでにない挑戦の連続だった。馬の安全保護のため、特定のレースを走る一団の馬は数テイク分だけを走り、またそのレースも一日おきという制限を設けた。しかしこの交替スケジュールをうまく回すためには、さまざまなサラブレッドが必要だった。「馬を選ぶときには、その馬の能力はまったく判らない。だから数頭の馬でシービスケットのさまざまな性格をカバーするようにしたんだ」とヘンドリクソンは語る。プロデューサーのキャスリーン・ケネディは「最初から、競走馬には本物の騎手を騎乗させるつもりだったこの物語を伝えるためには、何頭ものしっかりした馬を、さまざまなレースで走らせる必要があった。だから私たちは、かなり早い段階から映画のために"私たちの"競走馬を育てようという結論に達していたの」

本物のジョッキーが騎乗した迫真のレース・シーン

シービスケット全米各地から映画に参加する12名のジョッキーを探し出したのは、レース・デザイナーのクリス・マカロン。「ゲイリーがふんだんにレース・シーンを描いてくれて、とても嬉しかった。それに、どのレースも本物の競走馬を使うのだから、騎手にとっても大きなチャレンジになった。一方、馬は騎手が互いに殴りあうのを我慢。それに最も困難なシーンのひとつ、草競馬のシーンから始めるという大胆な挑戦を試みた。」撮影の数週間前から馬と寝食をともにしたヘンドリクソンは、その間、馬たちがキャメラだけでなく、器材を搭載したトラックが、側にいても大丈夫なように調子を整えた。「馬は自分の頭より上にあるものをとても怖がるので、クレーンに載せたカメラの扱いには気をつけなければならなかった。馬を怖がらせないように、必ずゆっくりと動かすようにしたんだ」ちなみにゲイリー・スティーヴンスは、本作全米公開直後の2003年8月16日、アーリントン・ミリオン競馬場でのレースでゴール直前に落馬、呼吸困難に陥ったほか、肺の損傷と脊椎を骨折したが容体は安定し、19日に無事、退院。

マグワイアの過酷な減量と厳しい騎乗トレーニング

『スパイダーマン』を演じるために筋肉をつけたトビー・マグワイアは、筋肉量を増やしながらも痩せる必要があった。そして乗り手と馬がひとつになるために、腿が焼けるようなバランスを保つやり方を必死で学んだ。ジョッキーは、手をどこに置くかを理解しなければならない。馬の首をどのように押さえるか、上半身の力のほとんどをどう使うか。馬の背にどのように位置するかを知っていなければならないんだ。それによって、馬と完璧に一体化できる。ロス監督は「トビーは72キロ。私は67.5キロぐらいになれば、納得させられる細さに見えると思った。ところが最終的に62キロにまで体重を落としたんだよ。それに美しいフォームで、本物のジョッキーに見えることが判ったよ」と責任強さとがんばりに感動した。「たったの5週間で、あれほど素晴らしいフォームをとれるとは信じられない。ジョッキー仲間たちは、口々に彼は本物の一流ジョッキーに見えると言っていたよ」とマカロンもマグワイアを絶賛。「これは、素晴らしい役だった。僕は挑戦が好きだし、いつも異なる役を演じていたい。この作品は、僕にとって大きな前進の一歩だよ。面白いのは、レッドとハワード、スミスの3人が孤立しているところだ。彼らはさまざまな理由で、孤独に自分を閉じ込めている。シービスケットは、そんな彼らを一緒にさせる、見かけとは異なるパワーの持ち主なんだよ」とトビー・マグワイアは語る。
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