映画のために競走馬を育てた!?
『シービスケット』に登場するすべての馬をトレーニングしたのは『ダンス・ウイズ・ウルブス』『パトリオット』で馬の調教に見事な手腕を発揮したラスティ・ヘンドリクソン。モンタナ出身で、これまでトビー・マクガイアとは『楽園をください』、クリス・クーパーとは『モンタナの風に抱かれて』、そしてジェフ・ブリッジスとは『天国の門』で組んでいた。そんなベテラン調教師にとっても本作はこれまでにない挑戦の連続だった。馬の安全保護のため、特定のレースを走る一団の馬は数テイク分だけを走り、またそのレースも一日おきという制限を設けた。しかしこの交替スケジュールをうまく回すためには、さまざまなサラブレッドが必要だった。「馬を選ぶときには、その馬の能力はまったく判らない。だから数頭の馬でシービスケットのさまざまな性格をカバーするようにしたんだ」とヘンドリクソンは語る。プロデューサーのキャスリーン・ケネディは「最初から、競走馬には本物の騎手を騎乗させるつもりだったこの物語を伝えるためには、何頭ものしっかりした馬を、さまざまなレースで走らせる必要があった。だから私たちは、かなり早い段階から映画のために"私たちの"競走馬を育てようという結論に達していたの」本物のジョッキーが騎乗した迫真のレース・シーン
全米各地から映画に参加する12名のジョッキーを探し出したのは、レース・デザイナーのクリス・マカロン。「ゲイリーがふんだんにレース・シーンを描いてくれて、とても嬉しかった。それに、どのレースも本物の競走馬を使うのだから、騎手にとっても大きなチャレンジになった。一方、馬は騎手が互いに殴りあうのを我慢。それに最も困難なシーンのひとつ、草競馬のシーンから始めるという大胆な挑戦を試みた。」撮影の数週間前から馬と寝食をともにしたヘンドリクソンは、その間、馬たちがキャメラだけでなく、器材を搭載したトラックが、側にいても大丈夫なように調子を整えた。「馬は自分の頭より上にあるものをとても怖がるので、クレーンに載せたカメラの扱いには気をつけなければならなかった。馬を怖がらせないように、必ずゆっくりと動かすようにしたんだ」ちなみにゲイリー・スティーヴンスは、本作全米公開直後の2003年8月16日、アーリントン・ミリオン競馬場でのレースでゴール直前に落馬、呼吸困難に陥ったほか、肺の損傷と脊椎を骨折したが容体は安定し、19日に無事、退院。





