イギリス南西部、グラストンベリーで若者の無残な死体が発見される。このことがきっかけで埋められ葬り去られていた古い教会の存在が明らかになってしまたのだった。司祭ルーク(サイモン・ラッセル・ビール)は、美術専門家であるサイモン(スティーヴン・ディレイン)にその教会の分析を依頼する。サイモンが見たものは、通常とは逆の教会に背を向ける形で置かれたキリストの処刑像と壁に彫られた幾つもの像だった。
一方、サイモンの妻マリオン(ケリー・フォックス)は、アメリカ人バックパッカー、キャシー(クリスティーナ・リッチ)を誤って車で撥ねてしまう。キャシーは奇跡的に重傷を免れたが、この事故で、自分の名前以外の記憶を失ってしまう。責任を感じたマリオンは、しばらくキャシーを自分の家に泊めることにした。サイモンの前妻の子供であるエマ(ジェシカ・マン)、マイケル(ハリー・フォレスター)と打ち解けるキャシー。
ところがキャシーは事故以来、しばしばリアルな幻覚を見るようになる。それは目の前の医師が、そして、時にはマイケルが血塗れになっている姿が見えるのだ。ブライアン・ギルバート監督って?Brian Gilbert俳優としてキャリアをスタート、スチュアート・ローゼンバーグが監督した『さすらいの航海』(76)など映画出演もある。監督デビューは脚本も兼ねた「The Frog Prince」(84)。ジャッジ・ラインホルド主演のコメディ『バイス・バーサ/ボクとパパの大逆転』(88)やマイク・ニューウェルらも参加したTVシリーズ「Smith and Jones in Small Doses」(89)、サリー・フィールド主演の『星の流れる果て』(90)などを手掛けたころは器用さだけが目立ったが、T・S・エリオットと妻の知られざる愛と哀しみの日々を描いた『愛しすぎて/詩人の妻』(94)でブレイク。格調高い画面作りと、冷徹な人間観察眼は高い評価を獲得し、続く『オスカー・ワイルド』(97)ではヴァネッサ・レッドグレーブやジュード・ロウら大物キャストと組むことになった。
「この映画には現代のイギリスを背景とした狂気や暴力と同時に、霊的で宗教的な側面がある。そこに惹かれたんだ。それに脚本が良く出来ていた。観客の誰もが、描かれているのは氷山の一角だ、と気付くだろう。見えている以上のものがある。周到にほのめかされ、やがて明らかにされていくんだ」
原題:『THE GATHERING』[2002年/イギリス/シネマスコープ/ドルビーデジタル/101min]配給:GAGA ギャガ・コミュニケーションズ(C)Samuelson Films 2001 Ltd and Granada Film Ltd