Q:タランティーノと仕事上のベストパートナーであるあなたですが、『キル・ビル』というプロジェクトがいつ、どのように始まったのか、そのいきさつを教えてください。
ローレンス・ベンダー:数年前のゴールデングローブのパーティで、クエンティンがユマに偶然会ったのがきっかけだった。彼が以前話していたプロジェクトのことを思い出して、ユマがクエンティンに「あの映画はどうなったの?」と聞いたんだ。その瞬間に、ユマは彼のミューズになった。当時、彼は第二次世界大戦を舞台にしたある脚本を執筆中だったんだが、僕に、「その前にひとつやりたいプロジェクトがあるんだ。ものすごく早く書き上げるし、低予算でできるし、上映時間は88分。そっちを先にやって、すぐにこの作品に戻るから」と言ってきた。そんなふうに始まった『キル・ビル』は、彼が書き始めるうちに、どんどん大きくなっていったんだ。
Q:『キル・ビル:ボリューム1』の撮影の多くは、中国で行われましたね。中国でロケをした感想は?
ローレンス・ベンダー:日本の舞台を、中国にセットとして作りあげたのは、バジェットを抑えるため。中国での撮影は楽しかったよ。トータルで4ヶ月ほど北京にはいたのだけど、アメリカに帰る時は悲しくて、落ち込んだ気分から抜け出すのに1ヶ月半もかかったほど(笑)。中国のスタッフは、よく働く。アメリカでは週5日仕事するのが常識だが、中国人は平気で週6日働くんだ。それで僕らも、最初は週6日仕事というスケジュールにしたんだが、すぐに週5日に戻した。1日というのが14時間を意味するこの業界では、週6日、そのペースで働くのは、やはり大変すぎるとわかったからね。
Q:贅沢に慣れたハリウッドスターたちは、北京は事情が違ってとまどったのではないですか?
ローレンス・ベンダー:10年前ならそうだったかもね。でも今の北京には4つ星ホテルもある。僕らもずっとセントレジスホテルに泊まっていた。ランチも、中華だけじゃなく、西洋料理もチョイスに加えたし、ベジタリアンのユマのためには、それ用の食事が用意された。週末には観光にも出かけられたし、彼女らにとっても楽しかったと思うよ。
Q:『キル・ビル:ボリューム2』の公開がいつなのか、気になるところですが。
ローレンス・ベンダー:早くても、来年の2月だろうね。今、僕らはようやく『ボリューム1』を仕上げたところ。これから『ボリューム2』の編集、サウンド、プロモーションをやらなければいけない。ファンのみなさんに早く見てもらいたい気持ちは、山々だけどね。
(c)猿渡由紀