Q:この映画であなたが演じるオーレン石井は、ヤクザの女親分です。彼女が日本人と中国系アメリカ人のハーフなのは、中国系アメリカ人であるあなたのために、タランティーノ監督が特別にそう設定したのでしょうか?
ルーシー・リュー:そうなの。ある日、クエンティンから突然自宅に電話がかかってきて、「君のために書いた役があるんだ。脚本を読んでくれないか」と言われたのよ。そんなことがあるなんて、まるで嘘みたいで信じられなかったわ。
Q:最初の脚本では、あなたのセリフも英語で書かれていたそうですが。
ルーシー・リュー:オーレンのセリフを日本語にすることは、私が提案したのよ。たとえば、映画後半の決闘のシーンでも、オーレンが日本語でセリフを言ったほうが、インパクトが強まると思ったの。クエンティンは、「君がやりやすいと思ったから、英語にしただけ。日本語にしたいと言うなら、歓迎さ」と言ってくれたわ。
Q:日本語の勉強は、初めてですよね?大変だったのでは?
ルーシー・リュー:聞く、話す、読む、書く、そのすべてを、とにかく家でも毎日勉強したの。セリフは、英語で書かれたものを日本語に訳してもらって、それを私の日本語の先生に読んでもらい、録音した。それから私がそれをリピートする。ただそのセリフを丸暗記するのではなくて、ひとつひとつの単語の意味も、全部質問したわ。そうしたほうが、どの言葉に重きを置くべきかがわかるから。一度セリフを覚えたら、今度は、先生に相手方のセリフを読んでもらって、ロールプレイのように練習もしたの。
Q:言葉のほかにも、日本刀を使ったアクションや、着物を着た時の立ち居ふるまいなど、今回は新しく習うことがずいぶんたくさんあったようですね。
ルーシー・リュー:着物を着て刀を振るのは、難しかった。歩幅を小さくして、内またで歩かないと、着物が崩れてしまう。それに、侍のアクションは上半身が中心だから、肩や首が凝ってしかたなかったわ。でも、着物を着ると、自然に女性らしくなるから、不思議。それに、体が小さくなったような気分になるの。
Q:『チャーリーズ・エンジェル』シリーズ、まもなく日本公開予定(現在、日本公開中)の『バリスティック』など、アクション映画の常連になりつつありますね。
ルーシー・リュー:今では、どんなアクションを要求されても、準備期間さえきちんともらえれば、期待に応えられる自信ができたわ。でも、アクションをやりながら、演技もしっかりこなすのは、大変。アクション映画は楽しいけれど、次のプロジェクトは、アクションでないものを探すつもりよ。
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