『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』 |
トリオといえば、『シカゴ』もリチャード・ギアが、レニー・ゼルウィガーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズをしたがえて、「両手に華」状態だ。しかし、黄金のトリオと比べるとネームバリューではちょっと弱いかもしれないけど、ブロードウェイとハリウッドが手を組んで失敗は許されないと頑張ったおかげ(?)で、上質のミュージカルに仕上がっている。
『シカゴ』 |
制服とマスコミ報道に弱い一般大衆
さてそれぞれの主演の2人、レオナルド・ディカプリオとリチャード・ギアの役柄には、共通点がある。
ディカプリオ演ずるフランク・W・アバグネイルは、ほんとは16才の高校生。でも両親の離婚をきっかけに、天才的な頭脳と勘を生かして小切手詐欺を思いつき、パンナム航空のパイロットや医者、弁護士にもなりすます。老け顔だったのか、26才と偽っても誰も疑わない。そもそも皆が見ていたのは、顔よりも彼の着ていたパイロットの制服や偽造した医師免許、学歴だから、童顔でも結果は同じだったかも。ある種の職業ではその外見だけで無条件に人の信用を得るという、現代にも通じる人間の愚かさの照明だ。
天才詐欺師のフランクは、小切手や証明書を偽造して人を騙したが、対するリチャード・ギアの役、ビリー・フリンは、マスコミを言葉巧みに操る悪徳弁護士だ。お金さえくれれば、真実がどうであろうと構わない。依頼人の女性が無罪だと言えば、そのために彼女の生い立ちまでも書き替え、マスコミを利用し、彼女を大衆のアイドルにさえもしてしまう。ビリーが引き受ける条件は、お金、マスコミが飛びつく殺人、裁判であること、そして自分の名前が売れればそれでいいのだ。弁護士なんて、はいて捨てるほどいるアメリカでは、こんな金と名誉に目がくらんだ弁護士なんて、現実にもいっぱいいるだろうな。