ロン毛ヒゲ面になっていたラッセル |
アカデミー賞直前にも関わらず『ビューティフル・マインド』のプロモーションのため来日したラッセル・クロウ。余裕ありありだったのに、最優秀主演男優賞はデンゼル・ワシントンにさらわれちゃいましたね。まあ、去年取ったんだからいいでしょ、今年は。
ラッセルの「How are you doing?」で始まった記者会見。なんと彼のテーブルからはタバコの煙が立ち昇っているではないか。タバコを吸いながらの記者会見なんて初体験の私。目の錯覚かと思ったけど、ラッセルの指にはしっかりとタバコが握られていた。かなりのヘビー・スモーカーなんだ、ラッセルって。本人いわく、あの低くて太い声は、このタバコとバーボンで作られたんですって。でも真似しないほうがいいですよ。
これがこの日唯一の笑顔のショット |
2年連続でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、ハリウッドの頂点に登りつめたラッセル。映画を選ぶ決め手は、シナリオを読んで「鳥肌が立つ」ほど感情に訴えてくる作品かどうかということ。
『ビューティフル・マインド』で「鳥肌が立った」ところは、年取ったジョン・ナッシュが、図書館で若い学生から思いもかけない質問をされるシーン。その質問によって、眠っていたナッシュの心が蘇るのである。このシーンがラッセルの一番のお気に入りらしい。
アカデミー賞授賞式でも司会のウーピーに「激情派のラッセル」とからかわれていたけど、いざ映画となるといいショットを撮るためならどんなことでもする柔軟性のある人らしい。こんな撮影中のおもしろいエピソードを教えてくれた。
ちょっとリラックスしすぎ? |
ノーベル賞受賞式でナッシュがスピーチをするシーン。同じセリフを何度も聞くことになる観客役の約1000人のエキストラたち。彼らを退屈させないようムードメーカー役を引き受けたラッセル。最も盛り上がっている状態のリアクションを引き出すために、カメラに写っていないラッセルは、観客席に向かって昨年取ったオスカー像をかかげて見せたそうだ。観客がどんなグッド・リアクションを見せたのかは、スクリーンでご確認を。
6歳のころからショービジネスの世界で生きてきたラッセルは、自分のエネルギーのムダ使いはしない。監督の「アクション!」で役になりきり、「カット!」の声で素の自分に戻るらしい。
「カメラが回っているときだけ、全身全霊でその役になりきればいいんだ。一日中その役になりきり、周りにもそう扱うよう要求する俳優もいるが、それはエネルギーのムダだ」とはっきり言う。しかし、今回のナッシュ役はいつもと違った。現実と映画の境目が曖昧になり、夜眠るのが恐くなったこともあるという。
「自分は労働者階級の出身だから、時間のムダ、お金のムダは、もったいないと思う。その点、監督のロンはムダがなくてよかった」。と、監督の話をしていたのに突然、「ワールドカップはどこが優勝すると思う? 多分イタリアかな?」とサッカーの話題に変わり、通訳の戸田奈津子さんの目を点にさせていた。
『ビューティフル・マインド』より |
とにかくスポーツが大好きみたいで、この後も回答の合間にラグビーの話をしたり、最後に日本のファンにメッセージをと言われて、「ワールド・カップを楽しんで!日本のチームが勝つことももちろんだけど、大会自体が大成功することを祈っているよ」だって。
おいおい、映画のプロモーションで来たんじゃないのかい、ラッセル。と思わず突っ込みたくなったのは私だけじゃないと思う。
女性に関する質問が出たときなんか、映画のナッシュと違って現実の自分は女性をモノにするには苦労しないと、堂々と言ってのけるラッセル。このあたりが誤解されるところかもしれないけど、多分自分に正直な飾らない男なのかもしれないね。
☆アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、助演女優賞受賞
『ビューティフル・マインド』(Beautiful Mind)
監督:ロン・ハワード
出演: ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、ほか
3月30日より全国東宝洋画系にてロードショー
オフィシャルサイト
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