東京生まれじゃない
ガイド:
「東京生まれ」は、エレクトロジャズパンクみたいなアーバンギャルドのレフトフィールド(左翼と呼ぶと誤解を生むのであえて英語)な側面が出ていますね。
松永:
ここでサンプリングされているのはジャズバンドでもオーケストラでもなく、まずひとえに都市そのものです。日々再構築され更新されていくコマ送りの新宿高層ビル群を想って聴いて下さい。悪ノリのような松永のラップも必聴です。
ガイド:
アーバンのメンバーはよこたん以外は東京生まれでしたよね。東京生まれでないよこたんにとって「東京生まれ」を歌うことはどうでしたか?
浜崎:
兵庫生まれになってしまいますね。しかし上京してから、東京のほうが自分の生活スタイルに合っている事に気づきました。凄く暮らしやすいですね。なので、違和感無く歌うことが出来ました。東京はワンテンポ遅い私をふんわり包み込んでくれる優しい街です。この曲はちょっとお姉さんな感じで歌ってます。
これを聞いてディスカッションしよう
ガイド:
ちょっと県民としてはさみしいですが、今のよこたんには東京が似合っていると思います。
「アニメーションソング」は、一見デスメタルのような危険な歌詞なんですが、タイトル通りの子供が口ずさんでしまいそうなサウンドによって、危害のあるメッセージではないのだと感じます。アーバンギャルドの優しさを感じます。
松永:
命は大切だとか、命を大切にとか何千何万回言われるより、もっと言うことがあるだろと公共広告機構のCMよろしく日頃思ってしまうのですが、栗山千明よろしく視線をナイフにできない僕はひとまず言葉をナイフにしました。激しい言葉の裏に優しいメッセージが貼り付いているようなものを常々作りたいと思っています。この曲を道徳の時間に聴いて、一通りディスカッションすると、良質な命の授業になる気がします。
テクノクラシック
ガイド:
最近老眼で、最初「リズム運動」のカヴァーって勘違いしたのですが・・・「リボン運動」はクラシックネタ使いですよね。
松永:
テクノクラシックというか、新古典主義的な雰囲気を出せるよう配慮しました。昭和の名人たちも次々と鬼籍に入り、昭和84年、いよいよ昭和も本当の意味で末期! リボン運動とはRibbon CampaignならぬRe-Born Campaignのことであり、グレイトフルにデッドする昭和に対するレクイエムになればと思い書きました。屋上から飛んだって、結局生まれ変われないんですけどね。
電化型
ガイド:
今回、「修正主義者」と「少女のすべて」は、別ミックス・ヴァージョンとして再度収録されていますが、その意図は?
松永:
シングル「修正主義者」が売り切れたため廃盤としたのですが、再販して欲しいとの声が多く、アルバムへの再録というかたちでご要望にお答えしました。どうせ入れるならと、以前とは別ヴァージョンで収録したのですが、いずれもより電化され、09年型の音像になったように感じます。
浜崎:
凄くクールな都会派の音になって、好きな音を詰めてもらったのでかなり気に入ってます。個人的に完全版のつもりです。「修正主義者」は間奏のポリリズムを刻んでるシンセベースがお気に入りです。
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